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スマート・テロワール通信

(株)さかうえ視察レポート 需要に応え、創造し、不確実性に挑み続ける


鹿児島といえば台風のメッカである。最大限作物を守るために、予報が出ると1週間前から大勢を動員してシート掛けをやるのだそうだ。そして通り過ぎたら外す。規模は200haだから、気が遠くなる作業だが、自分の商品とその流通を守るためにベストを尽くすのだという。この光景は地域では評判だそうだ。
特徴的なのは人材育成スキームである。1年目の作業員、2年目の栽培工程担当、3年目の作物担当(生産管理)、5年目の農場長・部長、10年目の経営管理者という完結型だ。各過程でリスクマネージメントとマニュアル作りに取り組ませ、権限と機会を与え、特定の畑の責任を持たせるというスキームである。若い女性が数年で数千万の売り上げを達成すると聞いた。見方を変えると、一人前になって独立していきなさいと言っているに等しい。どんな組織も教育には熱心だと思うが、ここまでやっているところはあまり無いだろう。

理論を実現する経営者の力

坂上社長は、「経営は、論理的思考とPDCAだよ」と何度も繰り返した。「目標利益を設定し作付計画を立てる。利益の達成は売上を伸ばしコストを抑える。それが全て」と単純明快な答えが返ってくる。「なんらかの障害があって契約栽培の目標が達成できそうもない時にはどうするのですか?」との質問には「それは関係性の構築によって解決していくしかない」とズバリ返ってきた。
これらのことは、普通の経営者も理論上では分かっていることだ。問題はこれを実現するための戦略と戦術と経営管理能力とやりきる意思の強さだろう。坂上社長からは、明快な言葉の端々に強い意志が伝わってくる。言葉を変えると妥協を許さない厳しさがある。こんな素敵な会社があることに、私は日本の農業の可能性を見つけた気がする。「夢と希望をありがとうございます」と言いたい。「さかうえ」は、社長の言葉通り「需要を創造し、不確実性に挑み続ける」だろう。
昨年の総会時、記念講演の締めくくりの言葉は下記だった。“BIG PICTURE, SMALL WIN大きな絵、ビジョンを描き、やることを決めて、毎日の小さな課題を着実に解決し推進する。

株式会社 さかうえ(農業法人)
鹿児島県志布志市志布志町
http://www.sakaue-farm.co.jp/
代表取締役:坂上 隆
設  立:1995年4月
資本金:5,200万円
従業員数:48名
事  業:農産物生産事業、第一次産業コンサルティング事業、M&A事業

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