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【知っておきたい 世界各国の産業用ヘンプ】
ウクライナ 90年代のヘンプ復活を支えた食用品種USO-31を育種した国
- NPO法人バイオマス産業社会ネットワーク 理事 赤星栄志
- 第15回 2019年02月28日
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ヨーロッパ諸国の需要の80%を占め、1720年の栽培面積は全ロシアで約70万haだったという。なかでもヨーロッパとアジアの間にある黒海に面しているウクライナ地域はヘンプの主産地だった。
ヘンプは当時の帆船の帆布やロープなどの索具に欠かせない軍需品で、戦争の原因の一つにもなったと言われている。フランスの皇帝ナポレオンは、イギリス海軍が輸入していたロシア産ヘンプ繊維の供給を断つために、1800年初頭にロシアへ軍隊を派遣したものの、ロシアの厳しい寒さのために敗退したことはよく知られている話である。
ソビエト連邦の時代には、コルホーズ(集団農場)において100~150ha単位でヘンプ栽培が奨励されていた。当時の連邦政府は、1931年にヘンプの栽培および加工の技術的課題を解決するために、ウクライナ北部の町グルホフに研究組織を設置した。これが後のウクライナ国立農業科学アカデミー靭皮繊維作物研究所だ。おもにヘンプとフラックス(亜麻)の育種、栽培、収穫、加工などの包括的な研究拠点として、この分野を世界的にリードする存在である。研究所からの技術支援を受けて、ウクライナのヘンプ作付面積は、50年の1万5000haから60年には10万ha近くまで増えた(図1)。
ヘンプは当時の帆船の帆布やロープなどの索具に欠かせない軍需品で、戦争の原因の一つにもなったと言われている。フランスの皇帝ナポレオンは、イギリス海軍が輸入していたロシア産ヘンプ繊維の供給を断つために、1800年初頭にロシアへ軍隊を派遣したものの、ロシアの厳しい寒さのために敗退したことはよく知られている話である。
約90年の歴史を持つ世界有数の研究拠点
ソビエト連邦の時代には、コルホーズ(集団農場)において100~150ha単位でヘンプ栽培が奨励されていた。当時の連邦政府は、1931年にヘンプの栽培および加工の技術的課題を解決するために、ウクライナ北部の町グルホフに研究組織を設置した。これが後のウクライナ国立農業科学アカデミー靭皮繊維作物研究所だ。おもにヘンプとフラックス(亜麻)の育種、栽培、収穫、加工などの包括的な研究拠点として、この分野を世界的にリードする存在である。研究所からの技術支援を受けて、ウクライナのヘンプ作付面積は、50年の1万5000haから60年には10万ha近くまで増えた(図1)。
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赤星栄志 アカホシヨシユキ
NPO法人バイオマス産業社会ネットワーク
理事
1974(昭和49)年、滋賀県生まれ。日本大学農獣医学部卒。同大学院より博士(環境科学)取得。学生時代から環境・農業・NGOをキーワードに活動を始め、農業法人スタッフ、システムエンジニアを経て様々なバイオマス(生物資源)の研究開発事業に従事。現在、NPO法人ヘンプ製品普及協会理事、日本大学大学院総合科学研究所研究員など。主な著書に、『ヘンプ読本』(2006年 築地書館)、『大麻草解体新書』(2011年 明窓出版)など。 【WEBサイト:麻類作物研究センター】http://www.hemp-revo.net
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