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【土門「辛」聞】
養豚のミステリーゾーンが見えてくる過去最大の豚コレラ禍
- 土門剛
- 第174回 2019年02月28日
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ウイルス特定も感染原因分からず
次ページの「発生リスト」と題した表は、豚コレラの発生確認時期と発生場所を時系列でまとめたものである。参考にしたのは、農水省が2月14日に公表した「我が国における発生状況」。オリジナルは、発生場所の飼養頭数が示されていたが、殺処分数に置き換えた(両県公表資料や新聞記事を参照)。被害の大きさを認識してもらうためだ。
(ア)から(ケ)の囲み文字で示したのは、二次感染したと畜場や養豚場などである。(7)を例にとると、(ア)は食肉に加工するため、と畜場に運ばれてきた豚から感染が見つかったケース、(イ)は肉用として肥育するため購入した子豚から感染が見つかったケースである。
感染ルートは何も分かっていないが、ウイルスのタイプは分かった。国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構(農研機構)のDNA検査で2種類あることが確認された。(7)と示した岐阜の7例目と、岐阜県内で捕獲された野生イノシシ1頭(捕獲番号60号)にのみ遺伝子配列に「変異有」という判定が下った。それ以外は同一の遺伝子配列だ。豚コレラに感染した野生イノシシは、2月14日現在で144頭いる。先の1頭以外は、すべて同じ遺伝子配列ということになる。
残念ながら、これだけでは感染源や感染ルートを特定することはできない。ちなみに144頭は、岐阜県によって調査のため捕獲されたものや、死体で見つかったものである。
愛知の(8)と(9)の2例(豊田市と田原市)は同じ系列の養豚場である。豊田市に本社があるトヨタファーム(鋤柄雄一代表)だ。実名にした理由は後で説明する。(ウ)から(ケ)は、トヨタファームの出荷先であり、二次感染の被害を受けたものである。
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土門剛 ドモンタケシ
1947年大阪市生まれ。早稲田大学大学院法学研究科中退。農業や農協問題について規制緩和と国際化の視点からの論文を多数執筆している。主な著書に、『農協が倒産する日』(東洋経済新報社)、『農協大破産』(東洋経済新報社)、『よい農協―“自由化後”に生き残る戦略』(日本経済新聞社)、『コメと農協―「農業ビッグバン」が始まった』(日本経済新聞社)、『コメ開放決断の日―徹底検証 食管・農協・新政策』(日本経済新聞社)、『穀物メジャー』(共著/家の光協会)、『東京をどうする、日本をどうする』(通産省八幡和男氏と共著/講談社)、『新食糧法で日本のお米はこう変わる』(東洋経済新報社)などがある。大阪府米穀小売商業組合、「明日の米穀店を考える研究会」各委員を歴任。会員制のFAX情報誌も発行している。
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