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特集

世界農業入門Part2

世界の農業はどうなっているのか。  Part1では世界を変えた農業の二大要因に注目した。耕地拡大と収量増大だ。  Part2では世界を変えたもう一つの要因―進化し続ける農家の実力に着目したい。  ( 文・構成/浅川芳裕 )
先進国の農家は世界のエリート層である。
図1の円グラフをご覧いただきたい。先進国(北米、EU15カ国、日本、豪州、ニュージーランド)の人口約8億人に占める農家比率とその内、30歳未満の割合を算出したものだ。農家比率1.9%に占める30代未満はわずか4.9%である。両者を掛けると0.1%、つまり若手農家は先進国人口の1000人に1人しかいない。
彼らこそ、人類の食の未来を決定していくエリート層だ。エリートとは「少数の選良・選民」「国・地域の運命を決定できる人」「社会で影響力がある人」のことである。
日本では長年、東大卒=エリートといわれてきたが、農家エリートはそんなレベルではない。受験生の1000人に5人も受かる東大生より、ずっと少数の選民なのだ。1万年を超える農耕史のサバイバルゲームに生き残った1000人に1人なのである。
先進国農家の全体像はわかった。国別にみていこう。
図2で先進主要7カ国の労働人口に示す農業従事者数の推移を表した。2016年、いちばん少ないのがイギリスの1.1%である。同じ1%台ではドイツ、カナダ、米国が続き、豪州、フランスがそれぞれ2.6%、2.8%となっている。日本は3.4%と圧倒的に多い。農家減少が社会問題とされる日本だが、英国の3倍もいる。国際比較すれば、まだ多すぎるぐらいなのだ。
ただ1960年からの7カ国の減少推移をみれば、日本の農家がもっとも急激に減っていることがわかる。4、50年で20%から4%以下になった。

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