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江刺の稲

庄内の若者たちの元気に触れた

  • 『農業経営者』編集長 農業技術通信社 代表取締役社長 昆吉則
  • 第274回 2019年03月29日

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三人の立場は異なるが、三人が口をそろえて語ることは、ほんの数年後に迫っている農業就業者の急激な減少と小さくなる国内コメ消費。それに対して若き農業経営者たちは何をすべきか。
僕が話すのはいつものことながら水田への畑作技術体系の導入と子実トウモロコシ生産。そして、中長期的あるいは今年の秋にも起きるかもしれないコメ市況の下落。人それぞれの戦略はあるかもしれないが、理念が共通する信頼の置ける取引先との契約栽培を考えるべきではないか。外食、中食へと主力のマーケットが変化する中で良食味米に集中するのでなく、契約を前提に多収米に取り組むこと。何よりコメの生産コストを下げ、高齢化によって求められる耕作規模拡大に応えるためにも畑作技術体系の導入と各地で始まっている子実トウモロコシ生産に取り組むことの重要性を話した。
夜の懇親会も大いに盛り上がり、多数の参加者たちから、畑作技術体系やトウモロコシに取り組みたいと質問と協力を求められた。実は3月の末には鶴岡市内でスガノ農機(株)に依頼して畑作技術体系の研修会も予定されており、今回の参加者たちもぜひとも研修に行くよう勧めた。大澤さんも僕らの主張はよく理解しており、研究者たちではなく、政策を考える霞が関の官僚の方々に農業経営者のところで水田での畑作技術体系の意義を実感してもらい、それに取り組む人々の考え方を聞いてほしいと話し、改めて大澤さんを訪ねる約束をした。
行政や農協のお膳立てでなく、自ら需要家であるコメ事業者と語り合って技術や流通、経営を学ぶ若者たちの元気と熱気にこちらが勇気づけられる思いがした。
翌日はかつて同地にバレイショ生産を定着させようと一緒に取り組んだ仲間を訪ねた。すでに後継者に経営を譲っている彼らであるが、後継者に親が取り組んできたチャレンジ精神や理想は受け継がれている。庄内はまさに“コメの呪縛”の中にいる地域だ。ここで加工バレイショに取り組もうとしたのは17年も前のことであるが、残念ながら10年ほどでその取り組みは終わってしまった。でも、その中の一人である叶野幸衛さんが山の畑でバレイショや麦、ニンジン、枝豆などの畑作に取り組み、それを後継者の幸喜さんが受け継いでいる。きっと叶野一家は同地への畑作技術体系導入の先導役として役割を果たしていくだろう。

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