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農業は先進国型産業になった!

日本ワイン比較優位産業論 現地ルポ 第3回 イノベーションで先導し 産地発展の礎を築いた シャトー・メルシャン(山梨県甲州市)


松尾工場長の話によると、地元の人たちは、荒廃地の解消というより、メルシャンのヴィンヤードとして歓迎し、盛り上げてくれた。ブドウの収穫期には、収穫作業のボランティアを募ると、1日60~80人が参加し、大きな力になっている(年間6日×80人=約400人)。椀子のブドウの30%はボランティアによる収穫だ。シルバー人材も多い日には1日10人位いる。社員も7人いる。椀子ヴィンヤードの雇用創出効果は大きい。
また、椀子ヴィンヤードをプラットフォームにして、地元の子供たちに、農業体験(ジャガイモの栽培~収穫を体験し、収穫したものは給食で供される)や、食農教育も行なっており、地域と共生している。生物多様性も培われている。垣根栽培のブドウ畑は草原の機能を有しており、そのエリアでは希少な昆虫や植物なども見つかっている。このように、ワイン事業はCSV活動そのものであり、社会的共通価値の創造を行なっている。
桔梗ヶ原ヴィンヤードも同じだ。塩尻には全国でも珍しいワイン醸造に取り組む塩尻志学館高校がある。08年から、塩尻市と産学連携協定を結び、講師を派遣している。醸造技術やワイン分析の講義、ブドウの剪定実習などの技術指導で、ワイン農業を担う人材育成に協力している。
このように、「日本ワイン」事業は、輸入果汁などを原料とする「国産ワイン」とは全く違った効果を持っている。
なお、自社管理畑の場合だけではなく、契約栽培の場合も、甲州種は粗放的栽培で済むので、高齢農家の離農を抑制し、同じように地域貢献になっている。

5 メルシャン支える農家群高齢化で「甲州」増加

シャトー・メルシャンが成長するには、原料ブドウを供給する自社畑あるいは契約栽培農家の増加が必要だ。ここで、ブドウ生産者の行動様式を分析したい。表1に示したように、メルシャンは全国で約70人の契約栽培農家がいる。うち約30人は山梨県内であるが、その中の勝沼及び甲府市玉諸地区のケースを取り上げる。
トロワ園主 高野正興氏(勝沼町上岩崎)
高野氏はメルシャンの前身、明治の大日本山梨葡萄酒会社の創設メンバー、高野正誠の子孫(4代目)である(注、トロワ園の名称は明治の二人の青年が渡仏し学んだトロワ市に由来する)。じつに140年以上にわたり、メルシャンに醸造用ブドウを供給してきたことになる。
高野氏(62歳)は、ブドウ畑1haを経営している。観光農園がメインで、シャインマスカット、デラウェア、バッファロー、巨峰・ピオーネなど30種類以上を栽培している。大房系の巨峰・ピオーネは1400円/kg、中小系のデラウェアは850円である。生食用は60aで5~6t出荷している。観光農園のピークは20年前で、子供連れが多かった。最近は少子化の影響で高齢者が多く、またワイナリーに行く人が多い。

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