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実践講座:したたかな農業を目指す会計学 続・入るを計り出を制す!

費用対効果と投資対効果(4) ICTツール編


農業ICTの費用対効果

さて、少し事例を紹介しよう。皆さんご存知のとおり農業ICTの先陣を切ったのは、GPSガイダンスである。北海道だけでなく府県でも導入が進んでいる。私が実家の農場に導入したのは、大きめの液晶画面を搭載したニコン・トリンブルの750シリーズがリリースされた頃のことだ。導入当時は、まだ経営委譲されていなかったので、父と私がおもにトラクターに乗っていた。作業範囲には、変形圃場も比較的多く、肥料を重複しないように散布したり播種したりするノウハウを代々受け継いできた。どの家でも似たような状況と察するが、作業の上手下手はどうしても親子の言い争いの種になってしまう。経験値ではかなわないだけに、息子は分が悪くなりがちだ。ライトバー仕様の頃からGPSガイダンスの情報は得ていたし、初めて液晶画面化した250シリーズは普及員の仕事で触れていた。その前段があって、日本語表示に対応した液晶画面が搭載されたのが我が家の投資タイミングと判断したのである。
GPSガイダンスの導入効果を挙げると、「作業効率が上がった(=労働時間の減少)」「作業精度が上がった(資材使用量の減少)」「オペレーターの疲労軽減」などになる。オペレーターの疲労軽減は、時間の使い方をモニタリングすることで数値化する方法もあるだろう。労働時間や資材費が削減した分に照らせば、その投資額は数年で回収できるものだった。しかし、それ以上に「家族の言い争いが減った」ことによる働く環境の改善効果は大きいと実感した。作業精度への不満をぶつけ合うよりも、生産的な会話をするほうが経営も暮らしも快適になる。家族経営であればおさら大切な事柄である。

試行錯誤を繰り返して道具は使いこなすべし

さて、技術が普及すると、同じ機械を導入しても、使い方が千差万別であることに気づかされる。使い手が便利になったと喜んでいても、費用対効果あるいは投資対効果として結果に結びついているとは限らない。とく農業向けにパッケージ化された商品が次々とリリースされるようになった最近は、その辺りをシビアに考えたほうがいいと思う。数年前に牛舎にカメラを設置した事例を挙げて、その理由を説明したい。
我が家では父の代から牛の出産時には深夜でも立ち合うようにしてきた。日中の勤務時間内に出産するように餌を工夫するなどして、深夜のお産はだいぶ減ってきたが、出産時の事故はできるだけ回避したい。乳量を増やすべく改良された牛は、自然分娩の適性が下がっていて、農業共済のデータを眺めると約6割が自然分娩だが、残りの4割が人の助けを必要としている。ただ、出産を控えた母牛はソワソワ敏感になり、人の気配に動じることも少なくない。つまり、離れたところからモニターで観察し、助けが必要になった時点で牛舎に駆けつけることができれば、人間にとっても、牛にとっても都合が良いのだ。

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