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実践講座:したたかな農業を目指す会計学 続・入るを計り出を制す!

費用対効果と投資対効果(4) ICTツール編


そこで、導入を検討し始めたものの、牛舎のなかは屋根こそあるが、カメラの使用条件で考えれば過酷な環境である。情報収集した結果、汎用の全天候型監視カメラを設置して、自宅のパソコン画面に映し出されるよう設定するまで、近所のエンジニアの知恵を借りて試行錯誤することになった。
実際に、牛舎に出向かずに自宅で出産前の牛が立ったり座ったりし始める様子を眺められるのは画期的で、家族のウケも良かった。さらにタブレットの導入で、外出先でも牛舎の様子を確認できるようになったことで、予想以上に家族の生活を変えたように思う。また、人がいない牛舎での牛の自然な振る舞いを観察でき、その動画を記録しておけば貴重な技術データが得られるとあって、“お得感”もあった。
一方で、もし導入当時にパッケージ商品があったとしたら、機能をフルに理解しようとしただろうかと考えさせられる。どんな技術でも、導入に伴う試行錯誤を経て使いこなすまでには時間を要する。今回は改善したいことが明確にあり、機種選定からシステム化までに携わったがゆえに、機能をすべて理解し、使いこなしていると思うからだ。
一般的に「先駆者」や「先達」と呼ばれる人は、新しい技術に関わる情報を集める力、飛びつく行動力をとっても、周りに比べれば変わり者であることが多い。費用対効果や投資対効果という視点で眺める場合には「試行錯誤を繰り返しながら、理解を深める」ことの貢献度が高いのではないだろうか。

経営戦略が広がる効果も

実際にICTを経営に導入し始めると、「もう何台かカメラがあったらいいな」とか「温度センサーを追加してみよう」といった改良案が次々に出てくる。さらに全天候型カメラを牛舎以外にも農場を見渡せる場所に設定してみたくなり、災害への備えあるいは農場のライブ配信による販促への展開を思い立つなど、ICTの進化が新たな経営戦略の掘り起こしにつながっている。当初はそこまで考えていなかったが、最近はそこに投資対効果を見いだそうと考えている。
農業機械、圃場管理、牛関連など多岐に渡るICTツールを手に取る機会が増えておもしろくなった反面、農業経営の成長スピードに比べるといささか道具が進歩しすぎているように感じている。「誰でも」「すぐに使える」という謳い文句についつい惑わされて、経営戦略に落とし込めないままにセールスマンに押し切られるのは避けたい。実際の現場には帯に短し襷に長しの商品も多く、農業経営者がICTツールの開発担当者らとタイアップして良い物に変えていく姿勢が求められている。

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