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エコフィードとは、食品残さなどを原料にしたリサイクル飼料のこと。生ものを扱う分、豚コレラの感染リスクに差がある。とくに産業廃棄物(産廃)扱いの食品残さなどを原料にした場合のリスクはいっそう高まる。そのため国は、エコフィードの製造や、複数の原料を混合・攪拌する調製などに対し、飼料安全法と家畜伝染病予防法で二重の規制をかけている。
トヨタファームは、その規制外だった。飼料安全法に抜け道があって、エコフィード製造業者に対し登録を義務づけながら、ユーザーたる養豚業者が、その調製工程で再加工しても、登録を義務づけなかった。つまり規制のループホール(抜け穴)があったということである。
尻尾を出したエコフィード隠し
結果概要のことを聞くべく、3月7日夜、消安局畜水産安全管理課(畜水課)に電話をかけてみた。冒頭、何気なしにトヨタファームが使用するエコフィードの原料となる食品残さについて質問した。当然エコフィードを使っていると思っての質問だった。
―トヨタファームが使う食品残さは、産廃として供給を受けたものか、対価を払って購入したものか。
「対価を払っているようです」
―それはどうやって調べたのか。
「豚コレラ疫学調査チーム検討会の現地調査に訪れた際、愛知県の説明でした」
産廃か対価という質問は、産廃を使っているのなら工程管理も甘いだろうと思ってのことだった。応対に出てくれた担当者は、質問の意図をよく理解していて、間髪入れず「対価を払っている」と答えてきたのは、思わず尻尾を出したということである。当初、登録がないので実態が分からないと逃げるつもりでいたが、こちらの仕掛けた罠にはまってくれたのだ。
それを踏まえて豊田農場におけるエコフィードと配合飼料の使用割合について質問してみた。すると先の答えと矛盾する答えが戻ってきた。
「(トヨタファームの)豊田農場は子豚の繁殖農場なのでエコフィードは使っていません」
彼らの想定問答集は、どうやらこの質問から始まることを想定して準備していたようだ。農水省の公式見解でもある。
たまたま手許に農水省作成の資料「豚コレラ発生対応(概要)」を置いていた。そこには豊田農場のことが、肥育と繁殖の「豚一貫農場」と書かれていた。丁寧に飼育頭数まで記載してある。ちなみに養豚での「繁殖」は、母豚に子豚を生ませ、その子豚を養豚場に出荷すること、「肥育」は、子豚を大きく育てて市場に出荷する。一般には分業体制だが、トヨタファームのような「豚一貫農場」は、肥育・繁殖をひとつの養豚場で展開する経営スタイルだ。
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土門剛 ドモンタケシ
1947年大阪市生まれ。早稲田大学大学院法学研究科中退。農業や農協問題について規制緩和と国際化の視点からの論文を多数執筆している。主な著書に、『農協が倒産する日』(東洋経済新報社)、『農協大破産』(東洋経済新報社)、『よい農協―“自由化後”に生き残る戦略』(日本経済新聞社)、『コメと農協―「農業ビッグバン」が始まった』(日本経済新聞社)、『コメ開放決断の日―徹底検証 食管・農協・新政策』(日本経済新聞社)、『穀物メジャー』(共著/家の光協会)、『東京をどうする、日本をどうする』(通産省八幡和男氏と共著/講談社)、『新食糧法で日本のお米はこう変わる』(東洋経済新報社)などがある。大阪府米穀小売商業組合、「明日の米穀店を考える研究会」各委員を歴任。会員制のFAX情報誌も発行している。
土門辛聞
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