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農水省は18年度地産地消等優良活動表彰で、トヨタファームに食品流通局長賞を授与した。「地域社会との共存・共栄を目指した養豚経営」が表彰理由だ。法令で定められた基準を守ることもできない養豚経営者を表彰すること自体、食の安全・安心行政に背反する行為である。農政の底の浅さを再確認させるようなエピソードでもある。
中国はエコフィード全面禁止措置へ
昨年9月13日発のロイター通信がこんなニュースを伝えてきた。ヘッドラインは、「中国政府、アフリカ豚コレラ(ASF)発生地域での飼育豚への食品残さの給餌禁止」。目的は、ASFのさらなる感染を防ぐためで、飼料製造業者に対し、検査のためのサンプル提出と、ウイルスに感染した飼料の回収と廃棄処分を求めている。
今年1月12日、中国政府は養豚場での食品残さを原料にした飼料の給餌の全面禁止に踏み切った。昨年12月31日付け香港スタンダード紙によると、食品残さを原料にした飼料を使う養豚場に対し、中国政府は養豚の許可を与えない措置を決定。その効果が徐々に現れ始めたのか、最近ASF発生を伝える中国からの報道は以前よりは減っている。
検疫や防疫すべてに通じることは、ときには強権を使い、なおかつ素早く対処する以外にウイルス征圧の王道はないということだ。
「感染確認の先延ばし疑惑」や「感染原因隠し疑惑」が横行する日本は、中国との「防疫競争」に敗れ、いずれ「安全性」をうたい文句にしたメード・イン・チャイナの豚肉やその加工製品が日本市場へ大量に入ってくることで、「貿易戦争」にも敗れる屈辱の日を迎えることになりそうだ。
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次回は、今次豚コレラ禍の最大のスキャンダル、ワクチン問題に迫ってみる。
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土門剛 ドモンタケシ
1947年大阪市生まれ。早稲田大学大学院法学研究科中退。農業や農協問題について規制緩和と国際化の視点からの論文を多数執筆している。主な著書に、『農協が倒産する日』(東洋経済新報社)、『農協大破産』(東洋経済新報社)、『よい農協―“自由化後”に生き残る戦略』(日本経済新聞社)、『コメと農協―「農業ビッグバン」が始まった』(日本経済新聞社)、『コメ開放決断の日―徹底検証 食管・農協・新政策』(日本経済新聞社)、『穀物メジャー』(共著/家の光協会)、『東京をどうする、日本をどうする』(通産省八幡和男氏と共著/講談社)、『新食糧法で日本のお米はこう変わる』(東洋経済新報社)などがある。大阪府米穀小売商業組合、「明日の米穀店を考える研究会」各委員を歴任。会員制のFAX情報誌も発行している。
土門辛聞
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