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特集

日本のGAPの今

農産物の生産管理手法GAP。食の安全性に対する消費者ニーズは当然高いが、その保証となるGAPはまだまだ普及途上にある。今回の特集Part1では、JGAPを推進してきた武田泰明氏にインタビュー、Part2ではJGAPを導入した生産者を取材した。GAPの動向をさぐるとともに、使いこなすために役立ててほしい。

【JGAPとは】

農業において主に食品安全、環境保全、労働安全など持続可能性を確保するための生産工程管理の手法。管理点(管理が必要な項目)に対して、120項目以上の適合基準(適切な農場管理のあるべき状態)が定められている。適合基準に含まれるものとして、栽培・収穫・出荷時などの管理、衛生管理や労働安全などの管理、土・水・農薬・肥料などの管理などがある。
JGAP認証には個別審査と団体審査があり、個別審査のプロセスは次のとおり。
(1)「JGAP 農場用 管理点と適合基準」を理解する。
(2)「JGAP農場用 管理点と適合基準」に基づく手順を構築し、運営する。
(3) 自己点検を行ない、改善すべき点を改善する。
(4) JGAP審査・認証機関に審査を申請する。
(5) 管理点ごとに「適合」「不適合」「該当外」で審査され、「不適合」があれば、後日、生産者が改善して報告書を送る。判定審議の結果、合格基準を満たせば認証が与えられる。

Part1 GAPは道具だ 自らのために使いこなせ

武田 泰明氏(認定NPO法人GAP総合研究所 専務理事)
インタビュアー/昆 吉則(本誌編集長)

【安全規格を欧米に握られてはならない】

昆吉則 武田さんと初めてお会いしたのは日本GAP協会が設立された2006年でした。秋葉原にあった事務所を訪ねたのが最初です。その日本GAP協会の事務局長も5年前に退任され、今は別の立場でGAP普及の取り組みをされています。日本国内のGAPをめぐる発展と混乱の歴史はおいおいうかがうとして、まずは武田さん自身のGAPとの出会いから教えてください。
武田泰明 2004、5年頃の話です。当時私は総合商社の社員として中国・青島のリンゴジュース工場の品質担当を任されていました。その工場は世界最大のリンゴジュース工場だったのですが、あるとき残留基準以上の農薬を検出。原因は原料のリンゴでした。使ってはいけない農薬を不適切な時期に使っていたのです。品質担当の私は、中国のリンゴ農家に正しい農薬の知識や使用法を勉強し実践してもらったところ、検出される残留農薬は確実に減少していきました。残留農薬問題が終息に向かいつつあるときに見たのがEUREP G.A.P.(現GLOBAL G.A.P.、以下「GGAP」)の基準書で、「自分たちが実践した対策はGAPのやり方とほとんど同じ」だったことに初めて気づいたんです。

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