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特集

日本のGAPの今


武田 GGAPの規格自体はいいものだと思いますし、ヨーロッパ型の大規模農業が可能な北海道の農場などでは機能すると思います。ただ、その他の規模が小さく、大型設備もない農場ではやはり日本の実情に合った規格が必要だというのが私の実感です。
改めてJGAP派とGGAP派の対立を歴史を踏まえて説明しますと、高橋理事長の時代、JGAPはGGAPと同等性認証されていました。正式にはApproved Modified Checklist方式のベンチマークと言いますが、JGAPの基準書はGGAPと同等と承認され、農場はJGAPに取り組み、GGAPの審査機関が審査することでJGAPとGGAPの認証を同時に、しかも安い費用で取得できる仕組みでした。しかし、同等性認証は2013年に解消されました。
昆 なぜ解消されたのですか。
武田 2012年頃、日本のGAP普及の主導権を握るためにGGAPを担ぐ一派が現れ、農水省や小売業、農薬メーカー、審査会社を巻き込んで、同等性認証を解消するようGGAPの本部に何度も働きかけを行なったからです。彼らにとって、JGAP経由ではなく、農家に直接GGAPをやらせることが重要でした。
GGAP認証費用はドイツでは年間5万円程度ですが、日本では30万円ぐらいで不当に高止まりしています。JGAPのGGAP同等性認証が解消されたことは、日本の農家にとって大損でしたね。4分の1程度の安い費用でGGAP認証が取れていたんですよ。
この5年を振り返ると、日本でGGAPで儲けたのは農家ではなく、コンサルタントや審査会社だけじゃないでしょうか。本当は農家が豊かになるためにGGAPは誕生したはずなのに、日本の一部の人にシノギの道具にされましたね。
昆 その後、武田さんたちはJGAPの管理方法をアジアに拡大させたASIA GAP(AGAP)でGFSI(世界食品安全イニシアチブ)承認を取るという戦略に打って出ました。
武田 私たちの目標はあくまで日本の農業界の意見を世界に発信し、農場管理基準の国際的な流れに影響を与えることでした。そのために何をすべきか思案していたところ、国際農業規格の世界で新たな動きができつつあることに気づき、そこに目をつけました。
その主要な舞台がパリに本部を置くGFSIという国際食品団体です。GFSIは食品や農場の認証制度が信頼に足るものかどうかをチェックする格付け機関で、GFSIの格付けが悪いとその認証制度の信頼性が低下する仕組みでした。つまり、GGAPの評価もGFSIの格付けに左右され、GFSIの台頭によりGFSIが各種GAP認証制度に国際規格かどうかのお墨付きを与える形になっていたのです。GGAPが世界のGAPの頂点にいる時代は終わりました。今はGFSIが頂点にいる時代です。

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