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特集

日本のGAPの今


現在はGGAP以外にも四つの国際規格GAPが存在しています。その一つがAGAPです。日本GAP協会ではJGAPにGFSI承認に必要な要素を加えたAGAP規格のGFSI承認という目標を掲げ、そのために財団法人へと衣替えし、本格的にGFSI承認に向けて動き出しました。AGAPがGFSI承認を取ったのは2018年です。日本農業の意見を世界へ発信するという目標を実現するためにアジア各国への普及が始まっています。
昆 財団法人化したのは2015年で、武田さんは2014年末で事務局長を退任されました。なぜですか。
武田 その頃の協会はAGAPのGFSI承認に向けた動きを本格化し、JGAPの普及にも注力しています。とはいえGAP取得農場は当時まだ1000くらい。もっと数を増やすには民だけでなく官民一体となった取り組みが必要で、財団法人化はそのために必要でした。財団法人化のタイミングで事務局長を自ら退いたのは、日本のGAP普及の主導権を握るためにGGAPを担ぐ一派との対立の最前線に長くいた自分が彼らの目の敵になっており、J対Gの不毛な対立の遺恨を引きずってしまうと考えたからです。
幸い、天下りではない元農水官僚の優秀な職員が協会にいたので、彼に後任をお願いしました。高橋さんの座右の銘である「捨ててこそ」にも影響を受けましたね。自分が事務局長の座を捨てることが、JGAP・AGAPを純粋な形で発展させることになると思いました。
昆 JGAP派とGGAP派の対立が起きた背景には何があったと思いますか。
武田 一つは日本人のメンタリティの問題でしょう。日本人は「欧米では」という枕詞に弱い。農業界に限らず、欧米がいつでも手本で、英語ができて「欧米ではの出羽守(でわのかみ)」がこの国を動かしてきたのは歴史的な事実ですから。それでヨーロッパのGGAPという出羽守を担げば、日本のGAP普及の主導権を握れると考える人たちが出てきてしまった。
不毛な争いをするより、JでもGでもどちらでもいい。この間の対立を経験した私はそう思います「GAP認証を取得したことで売上が伸び、販売先が増えた」「誇りの持てる農業になった」「代替わりを迎えたときGAP認証を取得していたおかげで農場管理のマニュアル化ができていて継承が容易だった」。こういった成功事例を一つひとつ積み上げていくこと。そのお手伝いをすることが自分の次のステージだと2013年頃に実感しましたね。

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