ナビゲーションを飛ばす



記事閲覧

  • このエントリーをはてなブックマークに追加はてな
  • mixiチェック

農業は先進国型産業になった!

日本ワイン比較優位産業論 現地ルポ 第4回 6次産業化した町ぶどう郷勝沼 ワインツーリズム人気(山梨県勝沼地区)


今年200円のブドウだったら、来年は300円と採点されたいと頑張るのが普通だ。だから、粗放的栽培だなんてことはないという。
このような哲学で経営している以上、矢野氏は将来、立派な経営者になると確信した。
矢野氏のブドウは、240円/kgもあるが、300円、500円もある。もっと高くてもいいよといって買ってくれるそうだ。

栽培者の名前入りワイン
取引先ワイナリーは、各栽培者のブドウをブレンドして醸造することが多いが、矢野氏は自分だけの「単一」のブドウで醸造してくれることを願っている。このタンクは矢野のタンクと決められて、栽培者の名前がボトルのラベルに載る(畑の代わりに、栽培者の名前入り)。このワインは矢野のブドウで造ったものと名前が入ると、励みになるという。すでにそういうワイナリーがあるようだ。「日本ワイン」表示規制になり、原料ブドウが不足気味になっている以上、原料ブドウを確保するため、ワイナリー側の対応も変化が出てきたようだ。
農業経営者としての「小作」の優位性を見る思いがする。矢野氏は最近、菱山地区に古民家を買い転居した。新住民ながら最古参になり、地域を支える人になろうとしている。

4 委託醸造 共同組合型ワイナリー (有)マルサン葡萄酒 若尾亮氏

勝沼は、戦前から、農家が地区や集落ごとに組織した共同醸造組合による小規模なワイナリーが沢山ある。(有)マルサン葡萄酒(若尾亮代表)も、1935年(昭和10年)、地域の共同醸造場「勝沼第5地区ぶどう酒共同組合」が前身である。63年(昭和38年)法人化し、マルサン葡萄酒になった。
ブドウ狩り観光園「若尾果樹園」も経営している(50年前から)。現在、果樹園60aに、シャインマスカット、ピオーネなど、25種類のブドウ品種を栽培している。シャインマスカットは1800円/kg、ピオーネは1500円で販売している。醸造施設の横についた階段を上がると、展望台になっている。山々とその麓に広がるブドウ畑の景観が素晴らしい。
ワイン醸造は、甲州種ブドウ使用量2万5000キロリットル(ワイン720ミリリットルで2万5000本)である。年産2万5000本のうち、4割(1万本)は委託醸造分である(農家数30軒)。農家がブドウを持ってきて、手数料をもらって醸造、全量引き取ってもらうシステムである。農家はワインを自分の観光園で販売している。ブドウ1kgでワイン1本(720ミリリットル)できるが、多い人で500本。委託醸造分は皆、一緒のタンクで醸造する。(注、勝沼には100%委託醸造からなるワイナリーもある。「ブロックワイナリー」という)。

関連記事

powered by weblio