ナビゲーションを飛ばす



記事閲覧

  • このエントリーをはてなブックマークに追加はてな
  • mixiチェック

アルパカファームの経営・労務事件簿

残業規制の波が農業にも


伝法院 これは、ハウス栽培だから、ということではありませんが、社員の皆さんと「36(さぶろく)協定」を結ぶ必要があります。労務関連のトラブルは農業では非常に多いので、働く環境を整えるうえでも、法律面の遵守は絶対ですね。

今回の執筆者
高橋 健太(たかはし けんた)
(有)人事・労務 われらまちの農縁団会員
中央大学法学部卒業後、早稲田大学大学院法務研究科を経て、人事・労務に入社。労働・社会保険手続き、給与計算、規則規程の整備などの業務を中心に企業サポートに関わる。特に若年層が個々の能力を十分に活かせる環境づくりに貢献すべく活動中。著書「中小企業のための『働き方改革時代』の社内規程の作り方(仮)」(ソシム(株)、4月発刊予定)。

労基法改正で罰則付きに!「36協定」の基礎知識

社員に対して法定労働時間を超えて労働をさせる場合や休日労働をさせる場合には36協定(正式名:労働基準法36条を根拠とする「時間外・休日労働に関する協定届」)の提出が必要となります。農業には法定労働時間の概念がないため、原則36協定の締結は必要ありませんが、外国人技能実習生がいる場合は必ず締結し、労働基準監督署長に届出することが必要です。また最近では、ハウスでの周年栽培など、天候にも左右されない体制を取っているようでしたら、一年中収穫できて農閑期がないため、適用除外となりません。
この36協定は、仮に1分でも残業をさせる可能性があれば、労働者代表と協定を結び、さらに労働基準監督署への提出が必要なのです。なお、ここで言う残業とは「1日8時間、1週間40時間」を超える法定外労働を意味します。会社が独自で定める所定労働時間を超過して働く残業とイコールではありません。例えば所定労働時間が6時間の場合、1時間の残業をさせるだけなら36協定の締結は必要ありません。
36協定を提出せずに1分でも社員に時間外労働をさせた場合は「6ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金」(労働基準法119条)となります。現実問題として、1年間で1回も残業をさせない会社はほとんどないのではないでしょうか。万が一のことも想定し、36協定は締結、提出をしておくべきです。

【36協定締結における留意点】

36協定の締結、提出の際には時間外労働ができる時間数に注意が必要です。今までは、時間外労働の時間数については行政による告示があっただけでしたが、2019年4月1日(中小企業は2020年4月1日)より、法律で時間外労働の時間数に上限を設けることになりました。改正法では「1ヶ月45時間、1年360時間」(特別条項に基づく場合は「1ヶ月100時間、1年720時間」)を上限として設けており、この規制を超えての36協定の締結・届出はできません。仮に上限規制を超えた内容の36協定が受理されたとしても、36協定は「全体として無効」となるとされています(2018年12月28日基発1228第15号通達)。

関連記事

powered by weblio