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知っておきたい 世界各国の産業用ヘンプ

韓国 “死装束”から産業・食品・医療の各分野へ利用拡大の門戸開く

無形文化財第1号は伝統的なヘンプ織物

韓国でもヘンプに関しては、日本と同じように古い歴史がある。紀元前3000年頃の群山遺跡、あるいは古朝鮮(紀元前2333~108年)の遺跡からヘンプ繊維の痕跡が発見されている。
近年の記録によれば、1930年には約2万8000ha、60年代に入っても約6000haほど栽培され、おもに夏用の衣料に使われてきた。韓国ではヘンプ布のことをサンベと呼び、女性用の民族衣装チマチョゴリは、ラミー(苧麻)を用いたものが多いが、ヘンプも古くから布地として親しまれている。
韓国中央部に位置する慶尚北道(キョンサンプクト)の安東(アンドン)市には、75年に無形文化財第1号に指定されたヘンプ布「安東布(アンドンポ)」がある。古くは宮廷が外国への贈り物の品に使われるほど高品質な麻織物として知られていた(図1)。安東市博物館では儒教文化を背景とした昔ながらの生活風習が再現され、出産から成人、結婚、死に至るまでの人生の行事ごとにヘンプ布を着てきた歴史に触れることができる。
なかでも、ひと昔前まで韓国の農村には土葬の文化があり、死者が纏う死装束にヘンプ布が使われていた。ヘンプ布によって死者の魂が大地に還るとされ、葬式代金の大半がその購入代金に充てられていたので、ヘンプ布を買いたいので紹介してほしいと言えば、葬儀屋を案内される具合だったという。

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