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知っておきたい 世界各国の産業用ヘンプ

韓国 “死装束”から産業・食品・医療の各分野へ利用拡大の門戸開く


安東布の品質の良さはヘンプ栽培に適した土地柄による。4月に播種して、小指ほどの茎の太さに成長した7月上旬に収穫するが、背丈は1.5~2.0mほどとあまり大きく育てず、細くて強い繊維を採取する。収穫後に水蒸気で蒸して皮を剥ぐ方法で繊維を取り、糸から布へとすべて手作業で行なっている。伝統的な栽培から加工までの一連の作業を安東布の保存会が担って熱心な活動をしているが、作付面積は08年の38.2haから18年には1.5haにまで激減してしまった。韓国全土でも、FAO統計による16年の栽培面積は12haとなっている。これは07年に葬儀に関する法律に「火葬を奨励する」旨が謳われたため、土葬が激減して火葬が8割を占めるようになり、土葬に使う死装束の絶対的需要が減ってしまったのが原因である。

環境に良い社会ではヘンプ製品は必須になる

現代的なヘンプ産業の展開において最も早くビジネス化したのは、李柄洙(リビョンス)社長が率いるヘンプ・コリア社だ。2000年に創業した当時は、「ヘンプ布=死装束」というイメージからタブー視されていたが、それを打破するさまざまな製品を展開していった。国産原料が入手しにくいので、中国産ヘンプを使用しているものの、韓国の法律の範囲内で創業からの10年間に開発したヘンプ製品は、ヘンプの衣類、寝具類、化粧品をはじめとして260種類、特許は7件、意匠登録は15件に上る。
なかでもユニークなのは、08年から展開しているヘンプサウナ(図2)である。日本にはあまり馴染みがないが、韓国式低温サウナは皮膚の老化を防ぎ、血液の循環を助け、新陳代謝を促し、生活習慣病の予防に役立つとされている。そのヘンプ版だ。ヘンプの衣服に着替えて、ヘンプの壁紙と建材を使ったサウナに入り、サウナから出た後にヘンプ化粧品で肌を整えるというものがセットになっている。当初のビジネスモデルでは、自社のヘンプ化粧品を定期購入している方を対象にしたサービス事業という位置づけだったが、誰でも利用できる施設を全国50カ所以上に展開しているほか、ヘンプサウナの部屋自体を約170万円で販売している。
08年に韓国東海市で行なわれた第2回アジア大麻産業国際会議において李社長は、「これからの持続可能な社会、健康的な生活を目指すならば、全世界は、石油化学産業からヘンプ産業の構築を目指していくことになる。ヘンプ製品は、環境に良い社会や製品を推進するなかで、さまざまなエコ製品から選択されるべきものではなく、必須なものなのです!」と強調し、会場から大きな拍手を受けた。

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