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土門「辛」聞

ワクチン不在で失敗した史上最悪「豚コレラ」防疫作戦


4月15日にもらった返事は、何の裏付けもない農研機構の見解のようなものだった。こちらが条件にした抗体・抗原反応を確認した結果にもとづく資料の提出はできなかったのだ。農研機構の効能評価は、ハルピン獣医研究所の論文を裏付ける内容だったと推測できる。

使うに使えない国備蓄ワクチン

農水省は、2月22日、豚コレラが蔓延する岐阜と愛知の両県に限り、野生イノシシにえさ型ワクチンを使用する方針を決めた。現場の強い要請でドイツから緊急輸入して使うことにしたのだ。ドイツから輸入するのはC株ワクチンであり、「2・1d」タイプの新型ウイルスに効果が疑問視されている。これは多分に飼育豚へのワクチン使用を求める現場の強い要望に対するガス抜き的な色合いの強いパフォーマンスにすぎない。
動物衛生・技官グループの大失態は、新型の「2・1d」ウイルスへの対応を怠ったことである。隣国・中国のハルピン獣医研究所が、従来ワクチンへの効能にネガティブな評価を与えた段階で、それを他山の石としなかった。国備蓄のGPワクチンに対して効能評価ぐらいはしておくべきだった。不作為の動物衛生・技官グループの責任は極めて重大だ。
動物衛生グループは反省しているとは思えない。それどころか開き直りさえしている。豚肉輸出に絡めてワクチン不使用を正当化するデマ宣伝だ。ワクチンを使えば、豚コレラ「清浄国」の看板を下ろさざるを得ず、そうなったら豚肉や同加工品の輸出ができなくなるという話である。笑止千万! 
豚肉の輸出は、2018年実績で5億円に満たぬ額しかない。一方、国内の豚肉産出高は17年実績で6575億円。豚コレラに苦しむ岐阜県と愛知県は、それぞれ同87億円と257億円だった。たった5億円しかない輸出のため、ワクチン使用に踏み切らないというのは、計算に合わない話である。
ワクチン不使用と決めたのは、国備蓄のGPワクチンが新型ウイルス「2・1d」に効果がないことを隠すために動物衛生・技官グループが思いついたデマ宣伝の類いだ。彼らにとってワクチンは使わせないのではなく、効果がないことが分かっているので、使えないというのが目の前にある厳粛な事実である。
動物衛生・技官グループに丸投げした豚コレラ対策、史上最低・最悪の家畜防疫作戦と名づけておこう。

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