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新・農業経営者ルポ

牛島謹爾シリーズ(3)進取の気性で開園した自然植物公園に島の人口の200倍を呼び込む


そんななか、近年取り組んできたのがバリアフリー化やトイレの改修だ。高齢者や身障者向けに園内の各所にスロープを付けたり、電動カートを増車してきた。トイレも身障者用にとどまらず、オストメイト対応を一昨年に完了させた。防人の里もリニューアルする計画がある。こうした心遣いで来園者を迎え入れようとしている。
今年は開園50周年の節目に当たる。屋外のレジャー施設で一番問題になるのは天候で、週末にどれだけ晴れたかで来園者数や売り上げが大きく動く。いかにきれいな花を咲かせていてもこればかりはどうしようもない。ただ、でき得る限りの企業努力で万全の準備を行ない、一度来園してもらったらリピーターにつなげていけるようにしておく。懐かしさはそのままに、少しずつ変化していくその向こうにあるものは、定期的に花の撮影に訪れる年配客や、宿泊を兼ねて遠路はるばる来園する東京からの家族連れの姿だったりする。島そのものといっても過言ではないのこのしまアイランドパークは、こうして50年後の100周年でも都会のオアシスであり続けるだろう。

異彩を放つ井上藤蔵の子孫たち

先祖が偉人だったとしても、直接触れ合ったことがなく、間接的に耳にするとしても世代を重ねれば、当事者意識はどうしても薄れてしまうに違いない。今回の3件の取材でもそれは少なからず認められた。だが、久留米市の(有)久保田園芸(注:第一弾)、糸島市の(有)久保田農園(注:第二弾)、そしてのこのしまアイランドパークの創業家一族は、井上家と久保田家とで婚姻関係が多数あることも関連してか、牛島謹爾や井上藤蔵の影を感じられたのも事実だ。晋平は両家の特徴をこのように説明してくれた。
「井上の家系は不正をせず、毎日コツコツと働く働き者で、久保田の家系はアイデアが豊富なようです」
いずれにしてもまばゆいほどの異彩を放っているのは確かだった。
(敬称略)

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