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特集

ラウンドアップの風評を正す



(7)どう対処したらいいのか?

日本はGM作物を輸入しているが、国内で栽培はしていない。これは食料の安定供給を輸入に頼らざるを得ない事情と、反GM団体の活動を無視できない事情の接点かもしれないが、海外から見ると「おかしな日本」ということになる。ところが、反GM団体はGM作物の輸入を認めているわけでもない。セラリーニ教授の論文やIARCの評価などを口実にしてGM作物もラウンドアップも危険と主張している。このような状況に農業者はどのように対処したらいいのだろうか。それは以下の3点と考える。
第1に、何が正しいのかを見極め、確信を持つことである。食品安全委員会などの日本の政府機関も国際機関も、そして多くの研究者も、ラウンドアップとGM作物は「安全」と断言している。IARCやセラリーニ教授のように、ほんの一部の人が「危険」というとメディア的には面白く、大きく報道する。すると、それを信じる人がニュースを拡散する。しかし、元をたどればそれはフェイクニュースに過ぎない。食品安全委員会やリスク管理を担当する行政の情報を信じてほしい。
第2は、正しい情報を周囲に伝えて仲間を作り、増やすことである。ラウンドアップのメリットを実感する農業者は多い。しかし、「危険」という風評に惑わされている人もいる。「安全」と確信して使い続ける仲間が増えることは周囲を元気づけるとともに、風評の影響を受けている人たちに別の影響を及ぼすことができるようになる。
情報源が新聞やテレビからインターネットに代わり、情報を受け取るだけの時代から自由に発信できる時代になった。新聞・テレビ時代には情報の内容を編集長がチェックしていたが、ネット時代の情報発信をチェックする人はいないため、ネット情報のほとんどがフェイクニュースになった。そんな時代にはフェイクニュースを見極める「情報リテラシー」が求められる。さらに、フェイクニュースに対抗するためにはそれらに対抗できる量の情報発信が必要であり、そのためにも仲間の力を結集することも必要である。そして、これは次に述べる消費者対応にも役に立つ。
第3は、消費者を味方につけることである。消費者は悪い評判があるものは避けるのだが、これに対抗する手段は丁寧な説明により消費者の信頼を得ることと、そして何よりも農作物に魅力があることである。ラウンドアップに神経質な消費者や小売業者がそれほど多いとは考えられないが、質問などがあれば科学的でわかりやすい説明が重要であり、そのために十分な準備が必要である。そして、あらゆる手段を使った情報発信の継続も重要である。

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