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江刺の稲

ラウンドアップに関する風評

  • 『農業経営者』編集長 農業技術通信社 代表取締役社長 昆吉則
  • 第276回 2019年05月31日

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この経過を見て、ネットをにぎわすラウンドアップに関するフェイクニュースのことを考えた。そして、メディアや社会的影響力のある人物による言動も。
特集のリードにも書いたが、つい先日の5月13日、カリフォルニア州オークランドの州裁判所の陪審が下した評決を報道するメディアの中には「モンサント除草剤でがんに、加州陪審が2200億円の補償命じる」というものがあった。ラウンドアップでがんになったと見出しで伝えているのである。しかし、この裁判の陪審団は「バイエル(モンサントの買収先)がラウンドアップの発がん性リスクについて警告を怠ったとして、懲罰的損害賠償20億ドルと補償的損害賠償5500万ドルを原告に支払うよう求めた」ものだ。
この記事を読んだ人は誤解するだろう。
そもそもラウンドアップ(グリホサート)の発がん性が問題になるきっかけは、2015年にWHO(世界保健機構)の外部組織であるIARC(国際がん研究機関)が(おそらく人に発がん性がある)とされる「グループ2A」と認定したことにある。しかし、この評価には当初から多くの科学者や研究機関が批判し、その後、IARCの上部機関であるWHOとFAO(国連食糧農業機関)が合同で組織したJMPR(合同残留農薬専門家会議)において「予想される接触による暴露量で遺伝毒性を示す可能性は低く、食事を介した暴露によるヒト発がんリスクの可能性は低い」と結論づけている。
それにもかかわらず、2017年6月に米国カリフォルニア州環境保健有害性評価局(OEHHA)が、グリホサートを発がん性物質に加えると声明を出し(プロポジション65の物質リスト)、商品にその表示を義務づけた。今回のカリフォルニアの判決はそうした同州独自の認定によったものなのである。EPA(米国環境保護庁)もグリホサートの発がん性を否定しているにもかかわらずに。
本号の締切の迫る5月13日に評決の出たカリフォルニア州での裁判を含め、次号で続編としてカリフォルニア州での裁判とその背景を報告したい。フェイクニュースを正すために。

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