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今月の数字

270億ドル(アメリカにおける2018~19年の農家救済策)


大豆への関税は中国にとっても痛手だ。中国では、大豆の約9割を搾油用に使い、搾油用大豆の重量の8割を占める大豆かすを家畜飼料として使っている。1995年時点では、中国の年間大豆生産量と消費量はいずれも1,400万tだった。しかし、2017年には生産量は変わらず1,400万tであるのに対し、消費量は1億1,000万tに増加した。養豚等畜産を振興するために1996年に大豆の輸入を自由化したことがきっかけとなり、養豚のほか、今日では養鶏用や養魚用の大豆かす需要が増加している。中国ではアメリカからの大豆の代替としてアルゼンチンやインドからの調達を計画しているが、それでもアメリカから1,500万tを調達する必要があると見積もられている。中国養豚業は豚コレラで生産量が20%減少しており、さらに飼料価格の上昇により経営を圧迫する。
農業や製造業の流れを断ってでも関税値上げに踏み切ったのは、5G(第5世代通信)の主導権争いが大きな要因と見られている。2018年12月の首脳会談以降、中国の産業補助金削減や知的財産権保護、為替政策の透明化など7分野で協議を続けてきたものの、知的財産・企業秘密の保護、技術の強制移転、競争政策、金融サービス市場へのアクセス、為替操作に関する法律改正の文書化を中国が拒否したことで交渉が決裂した。さらに、トランプ大統領は15日、アメリカの安全保障にとってリスクのある外国企業の通信機器を、米企業が使うことを禁止する大統領令に署名した。そのターゲットは中国企業のファーウェイだ。スマホ出荷台数のシェア世界2位を誇るファーウェイの主力事業は通信基地局で、世界の27.9%とトップシェアを占める。日本国内でもソフトバンクが採用したことで急成長し、2017年度は13.2%と他の上位5強と同程度のシェアを持っていた。移動端末と無線で通信を行なう基地局は、5Gで使う高周波数帯を使う際には4Gに比べ多く必要となり、国内携帯事業者各社の5年間の基地局整備費は4Gの約2~4倍、数千億円規模となる見通しだ。
昨年12月に、日本政府は情報漏洩など安全保障上の懸念からファーウェイなどの製品を政府調達から排除する指針をまとめた。これを受け、携帯電話各社も次世代通信「5G」の基地局で中国製品を使わない方針を決めている。ソフトバンクは4Gの基地局についても順次無線機をファーウェイからノキアに変えていくと発表した。5G覇権を巡る貿易戦争は農業や製造業の国際分業のバランスを激変させる。調達や販売先の多様化が必要だ。

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