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農業は先進国型産業になった!

日本ワイン比較優位産業論 現地ルポ 第5回 自社畑拡大に積極的に取り組む「日本ワインはステータス」 サントリーワイン(東京都港区)


ワイン新興産地が意味すること――スタンダード向上
さて、日本のワインは競争力があるか。美味しいか。一番の問題である。表1に示したように、国内製造ワインは全流通の約3割を占めており(約1億7000万本)、それなりの競争力はあると考えられる。しかし、日本のワイン文化はまだ新しく、商品知識が十分ないままに選好しているための結果としてのシェアの高さかもしれない。
消費者が十分な情報を持たない「不完全市場」で選好が行なわれてきた(関税障壁のもと輸入ワインの普及が抑制されていたことも)。しかし、今後は、日欧EPA協定に伴う関税撤廃(2019年2月発効)等により、輸入ワインが安く入ってくる。競争環境が変わってくる。その中での勝負になる。日本産のワインはどこまで競争力を発揮できるであろうか。国内製造ワインの品質はまだ改善の余地が大きいと思われる。
ワインといえば、フランスのボルドー、ブルゴーニュが銘醸地として評判が高い。フランスがワインの本場だとする見方は世界中にある。しかし、この30年で、急速に変わってきている。
1980年代、米国カリフォルニアのワインは、それほどは美味しくなかった。若者たちも、デートに誘うときはフランスワインを持ち出していた。しかし、さすがに技術力の高い国、あっという間にスタンダードが向上し、いまや本場を凌いでいる。
オーストラリアも然りだ。また、南米のチリ、アルゼンチンも、近年、急速に美味しいワインを供給できるようになった。技術革新の成果だ。
ボルドー、ブルゴーニュだけとは限らない。“技術向上”によって、新世界のワインも素晴らしく良くなった。ワイン産地は動く。しかも、産地移動のスピードは速い。他の農産品よりも速いのではないか。例えば、コメや小麦はむしろ産地移動がないといってよい。確かに、ブルゴーニュ等はブドウ栽培に適しており、美味しいワインができるが、フランス本場説は歴史の神話であろう。
日本も、可能なはずだ。ブドウ栽培、醸造技術の進歩を追求し、スタンダードの更なる向上を期待したい。品種別にみれば、“甲州種”は一番比較優位が高いと思う。「甲州」は将来、輸出産業になれる「幼稚産業」と考える。もちろん、「甲州」もワイナリーによって格差が大きい。ソムリエ的着飾った言葉だけの世界を脱し、スタンダードを向上させることができれば、未来が開けるであろう。

2 サントリーの成長戦略

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