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今年の市場相場を読む

ウリ類果物の役割はどう変わったか スイカ/コダマスイカ/アールスメロン/アンデスメロン

昭和の末から平成最初にかけてバブル経済が絶頂期に至ると、衣食住に贅沢が行き渡ったが、以降、十数年はバブル崩壊とともに、価格の低下志向と購入量の減少傾向が続いてきた。こうした需要構造の変革は永年果樹である果実類には深刻な影響を与えた。平成20年ごろまでには、経済全般も下げ止まり、リーマンショックや東日本大震災などいくつもの経済的なマイナス要因は多かったものの、平成末までには多方面で回復や新たな価値づけへの動きも始まった。平成20年と30年の10年を対比させながら、また過去の入荷動向も参考にしつつ、その位置づけ、役割の変遷を見てみよう。

スイカ 過去30年で6割も入荷減少、自然に体温下げる機能で消費回復を

【概況】
東京市場のスイカ(大玉)の入荷推移を20年対30年で見ると、数量では15%減で、単価は3割近い28%も高くなった。入荷の減少率は思ったほど大きくないが、ピークだった昭和62年(1987年)には8万t以上の入荷があったことからすると、この30年間で6割も減って30年は3万3000tに落ち込んでいる。かつては真夏の7、8月にピークを迎える千葉産が2割以上を占めていたが、30年では5月がピークの熊本産が25%のシェアを持つ。
【背景】
スイカは近年になると、1~3、4月の「早出し」ものが減った。30年前の入荷最多だった時期からは5分の1、10年前からも半減に近い。いまや熊本は、スイカ本格シーズンを告げる5月に出荷ピークを持ち、同時に周年供給産地でもあり、不動のトップ産地だが、6月には千葉や鳥取が始まり、7、8月には加えて長野産が、8月からは山形産という、明確な役割分担の意識で産地リレーするパターンが定着し、過当競争を避けて各産地が販売安定化を目指している。
【今後の対応】
いまやウリ類は5月からのメロン、6月にはコダマが、7月からが大玉のピークへという、自然な流れになっている。徐々に大玉のカット販売で夏を迎え、8月には時折、1個売りできる相場もある。かつて真夏にはキロ単価が100円を切ると消費もついてきた。しかし近年では、安くても消費者は買わないというが本当だろうか。猛暑時には「スイカで自然に体温を下げる」機能を伝えつつ安く売る工夫をし、消費習慣を取り戻す努力が欲しいものだ。

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