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イベントレポート

農村経営研究会視察会/エコをコンセプトとした地域づくり

千葉県匝瑳(そうさ)市に、エコをコンセプトとした地域づくりに力を注ぐ人々がいる。ソーラーシェアリングと有機農業をはじめ、商品開発事業、食生活、住まい、レジャーまで一貫してエコにこだわった活動をしている。ひとつの地域において、生態系をベースとした経済・文化・社会の循環のあり方を実現しようという姿勢は、同じ理想を持つ人々の共感や環境意識の高い企業の期待を集め、さらに好循環へとつながっている。
農村経営研究会は4月26日、地域づくりの仕掛け人である市民エネルギーちば代表の東光弘氏を訪ねた。東氏はもともと有機野菜やエコ商品の販売業に携わっていたが、2011年の福島原発事故をきっかけに脱原発を志した。反対を唱えるだけではなく具体的な行動をしようと、ソーラーシェアリングの発案者である長島彬氏と生産者の椿茂雄氏との出会いを経て、2014年7月、市民エネルギーちば合同会社を設立した。会社は、同年9月の匝瑳第一市民発電所完成を皮切りに、ソーラーシェアリングの設置や運営、コンサルティング事業を手掛けている。
ソーラーシェアリングとは、発電事業と営農を両立させるものである。パネル同士の間隔を空けて設置することによって、作物が日照を得ることができ、風も逃がすことができる。ソーラーシェアリングの技術についての詳細は、本誌2018年12月号の特集を参照してほしい。ここではソーラーシェアリングを含めた地域づくりを紹介する。

ソーラーシェアリングと有機農業で、物質循環と経済循環を図る

視察団は、17年4月に完成した匝瑳メガソーラーシェアリング第一発電所を視察した。面積3.2ha、設備容量1メガワット、年間発電量142万4000kWh、一般家庭300世帯の電力消費量を賄う。ソーラーシェアリングとしては日本最大の規模である。運営は、市民エネルギーちば合同会社100%出資の匝瑳ソーラーシェアリング合同会社(代表は椿氏)が手掛け、電力会社への売電によって収益を得ている。総工費約3億円、年間売電額は5400万円。資金は、城南信用金庫の融資とSBIエナジーの社債によるものだ。
ソーラーシェアリングは、一時ブームとなった投機的な手段としての太陽光発電とは一線を画す。かつて、太陽光発電と言えば、地面を完全に覆うタイプのもので、山を切り崩して設置されることも多かった。それでは、パネルの下には雑草すら育たず、周辺の生態系まで壊してしまう。クリーンエネルギーでありながらエコとはかけ離れてしまっていた。ソーラーシェアリングは、発電用パネルと作物が太陽光をシェアするという考え方だ。パネル下でも植物が育ち、生態系を維持することができる構造になっている。

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