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イベントレポート

農村経営研究会視察会/エコをコンセプトとした地域づくり


匝瑳メガソーラーシェアリング第一発電所は、かつて広大な農地が造成された飯塚開畑地区にある。近年、耕作放棄地が目立つようになっていたが、発電所はその耕作放棄地の活用にも一役買っている。耕作を請け負っているのは、やはりエコに賛同する若手生産者たちによる農業法人Three little birds(スリーリトルバーズ)だ。現在、麦や大豆、サツマイモなどを有機栽培で生産している。もともと山を削ってつくられた農地なので、土壌は排水性が悪く、日照りになるとカチカチに固まってしまう。そんな土地を土壌微生物からミミズまでいるような肥沃な土壌にするため、あえて除草剤を使わず雑草も緑肥として活用している。動物性有機物も使用しないという徹底ぶりは、有機農法というより自然農法に近い。それでも在来種の大豆を全国平均に近い10?a当たり150kgという収量を確保している。こうしてパネルの下で農業を営みながら、本来の生態系による物質循環を取り戻そうとしている。
東氏は、ソーラーシェアリングは地域の経済循環を促す効果があるという。自治体にとっては設備の固定資産税が年間約350万円、工事費用として地元の企業や個人に約8000万円、地権者への地代80万円。
「さらに生産者に年間200万円、地域の課題を解決する資金として地元の協議会に年間200万円。見学者は年間約2000人。見学者が来ればお金が落ちる。私たちは、地元にお金の流れが生まれるということを大事なテーマにしています。今日は、皆さんのお弁当代が地元に落ちますね(笑)」

エコをテーマに人々と企業が集まり、地域の人とお金が動く

農村経営研究会でしばしば課題として挙げられるのは、地域の人々をどう巻き込んでいくかということだ。今回視察した市民エネルギーを中心とした地域づくりは、匝瑳市行政も地域住民も参画している。その理由は、ソーラーシェアリングのための資金が、発電や農業などの事業を経て、地域が必要としている活動に「シェア」されているということが大きいだろう。まずソーラーシェアリング事業に対して、環境意識の高い金融機関や企業などから資金が提供される。その資金を使って匝瑳ソーラーシェアリングや市民エネルギーのソーラーシェアリング事業がお金を生み出す。そのお金は地域協議会や農業生産法人、NPO法人などに提供され、そこからさらに子供支援や移住者対策、耕作放棄地の再生、新規就農者支援、環境保全活動など、地域再生事業に活用されている。東氏は、このお金の流れと事業活動を「シェアとオーガニックをテーマとした連携」と呼んでいる。

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