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人生・農業リセット再出発

2時間待ちの珈琲店


目の前で鈴木太郎さんは元気よく話を始めた。
「ゲイシャ・コーヒーって飲んだことがありますか? 世界で最も高価なこのコーヒーがそうですが、今日はこのパナマ産ゲイシャ・コーヒーを飲んでいただきます! コーヒーは北回帰線と南回帰線の赤道近く、コーヒーベルトの約70カ国で生産されて輸出されます。海抜1,000m以上の高地で栽培されますが、ゲイシャは1,700mの地域で栽培されるので管理が難しく、収量も少ない貴重品、なかでもこのパナマ産は最高級品、1kgで6万円もしますから1杯当たり2,000円するものです。今日は世界コンテストで入賞しているコーヒー淹れの専門家バリスタが用意します。ゲイシャは、エチオピアのカファ地方のゲシャ村で1931年に発見された新品種名で、芸者とは無関係です。このカバンの器械で豆を焙煎し、挽きますのでご覧ください!」
60万円のジュラルミン特注カバンには焙煎器とミルが格納されている。月間半分は海外に出かけ、コーヒー栽培地に到着するとその場で焙煎して飲んでみてから商取引をすると言う。
「サザコーヒーは、タダ・コーヒーから始まります。座って楽しくおいしいコーヒーを飲みませんかとまず本格的なおいしいタダの1杯を差し上げる。納得してファンになった方々がどんどん増えて今日があるんです」
SAZA-COFFEE……聞いたことがなかった。茨城県ひたちなか市で1969年に開業し、本店でもコーヒーを飲むために2時間待ちもあると言う。サザコーヒーは父の鈴木誉志男会長が開業、独自の仕入れや焙煎方法を積み重ねて10店舗を運営してブランドを築き、2代目の太郎さんが業界で確固たる地位を築く。高校中退、再入学で留年、卒業は20歳。23歳で大阪のコーヒー豆問屋で働き、東京農大へ。父親がコロンビアで買った農園へ卒業後に渡る。帰国後は手腕を発揮して商品開発に挑戦し、都内出店へと発展させる。最高の豆の買い付けと啓豪に東奔西走し、パナマのエスメラルダ農園で生産されるゲイシャは世界一高価で上品な果実の香りと甘い味だと、競売では3年連続最高価格で落札。
「世界最高の味を提供できるのは世界中探してもこのサザコーヒーだけでしか味わえないのです!」
鈴木太郎・SAZA-COFFEE社長、そのさわやかさと明るさ、それにも増して絶品のコーヒー。2時間待ちで飲む1杯の価値は十分にある。

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