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新・農業経営者ルポ

新規参入のアウトサイダーから地域の若手を束ねる存在に


「あと5年したら、20代の従業員をま
た雇う。10年サイクルで若い従業員を入れていって崩れない体制を作る」
常に先を見据えている。

400haのグループ結成

自社の経営を牽引するだけではなく、農家同士の横のつながりも作ってきた。発起人の1人になって、2017年に庄内の若手農家で「F.A.I.N(ファイン)」という組織を立ち上げた。F.A.I.Nは、Future(未来)、Agriculture(農業)、Innovation(イノベーション)、Network(ネットワーク)の頭文字を取った。将来の農業に革新を起こす組織という意味だ。
「これから集落に教えてくれる先輩農家がいなくなって、このままでは若手農家が孤立するだろうなと。ものすごい勢いで農地が出てきたとき、受け入れる側が限界を作ってしまう。自分の倉庫が20haが限界だったら、それ以上は受け入れないとか。でも、空いている倉庫を利用し、皆で調整ややりとりができれば、もっともっとできるだろうと」
設立に踏み切った理由をこう説明する。
「各集落でリーダーを育成して産地を守っていきたい。若者がたくさんいれば、マーケットからも『面白い』と思われるのではないか」
ロゴマークは、コメ粒が三つ重なった形をしている。三つのコメは営業、栽培、販売の三位一体をイメージしている。どれか一つに偏らず、総合的に経営のできる生産者の集合体であるということを表している。粒の重なり合いは個々の農家が強く結束していく姿に見立ててもいる。
コメづくりのための知識と技術、情報を共有し、生産の効率化を実現し、個々の生産者を束ねることで大規模な玄米量を扱えるようにすることを目標に掲げる。具体的な活動内容は、肥料や農薬などの資材を共同購入し、費用を安く抑える。一生産者では対応できない量の注文が来た場合、グループ全体で対応する。交流会や勉強会を定期的に開き、県外はもちろん、海外も含め積極的に視察する。
30代、40代の17人がメンバーで、全体の面積は約400haになる。いずれ2000haまで拡大したいという。一経営体が50~100haの規模になることを目指す。F.A.I.Nの年会費は10万円。資材を共同購入にすることで、面積が10ha程度なら、年会費分のコスト節減は難なくできる。齋藤はその会社の代表を務め、メンバーへの資材の小売と作業請負へのメンバーの派遣を実施している。

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