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特集

さらにラウンドアップの風評を正す


2つ目は、現代社会における情報伝達の変化です。新聞やテレビが報道の主体であった時代では、組織内で取捨選択されたほぼ確実な情報だけが世の中に伝達されていました。しかし、ここ10年20年はネット、SNS全盛で誰もが情報発信できる社会になりました。当然、組織内のチェック機能は働かず、社会の不安をあおるようなジャンク情報が取捨選択されずに世の中にあふれ出るようになりました。そうした状況で、情報の真偽を判断できない大多数の人たちは、先入観に従って偏った情報にアクセスしがちです。その結果、最初の間違った先入観がますます強化されることになります。もちろん、週刊誌など既存のメディアも社会の不安をあおる情報を発信してきましたし、いまもしていますが、ネットやSNSの比ではありません。多くの人が持つ漠然とした不安をネットメディアがあおる構造ができあがっているのです。
背景の3つ目が政治の不関与です。食品関係の風評被害の事例を見ると、国産と米国産牛肉のBSE風評被害、福島産農産物の放射能汚染風評被害は、ほぼ解消か解消の方向に向かっています。いずれも政治や政府が強い力を発揮して風評の解消に関与した事例です。一方で、解消していない事例は政治の関与がほとんどないケースといえるでしょう。風評は忘却によって解消されることもありますが、大きな事件・事故が起きた場合、忘却による解消は困難です。そして残念ながら、日本ではますます風評に対する政治の強力な関与が望めない状況になっています。小選挙区制が導入されて以来、政治家は中長期的な国民益を説くより、ポピュリズムに走らないと当選できない傾向が強まっているからです。科学的な根拠は無視してでも「添加物いらない」「GMいらない」「農薬は怖い」などと言わないと多数の支持が得られないと思い込んでいます。そして、それが実際に起こりうることは、国民自身の問題ともいえます。民主主義は、国民の多数が健全な判断力を持つ場合にしか成立しないのです。
国民に漠然とした不安が広がり、ネットやSNSがその不安を増幅し、政治はポピュリズムに走って対処しない。ですから、風評被害はこれからも必ず起きると思います。
昆 ラウンドアップは原因となる事件・事故がない特異な事例だと指摘されました。ではなぜ風評被害が広まっているのでしょう。
唐木 じつは現代社会の4つ目の問題、背景があるのです。きっかけとなる原因がなくても、反GM団体や反捕鯨団体のようなアクティブな団体がSNSを使って大騒ぎすると、そこを起点に風評被害を起こすことができるのです。それとラウンドアップ問題につながる反GM運動に対しては自民党政権がリスクコミュニケーションを進めていたのですが、2009年の政権交代後、民主党政権の農水大臣は反GM派だったので、GM推進政策はストップさせられました。

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