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特集

さらにラウンドアップの風評を正す


言い換えれば、原告が以下3点について陪審員を説得できれば、被告の過失による不法行為が証明され、賠償金を支払うことになる。(1)被告の商品によって人身被害を被ったこと、(2)被告は商品がユーザーに危害を与える可能性をあらかじめ知っていた、(3)その注意を発する義務(商品ラベルに記載する等)を怠ったこと。
では、具体的にはどんな裁判が展開されたのか。三つの裁判のうち、初めてモンサントに勝った「ジョンソン事件」を事例に紹介する。
原告の主張は、上記で解説した「過失による不法行為」を争う訴訟の王道である。「ラウンドアップが被告のがんに影響を与えた可能性があり、その潜在的な危険性について被告は認識していたにもかかわらず、警告を発していなかった」に集約される。
一方、被告側のモンサントは否認する。論拠はこうだ。当社商品に発がん性はないと認められている。したがって、当社の商品と原告の健康状態の間に科学的な因果関係はない。関係がないのだから、危険性を故意に知らせなかった過失など存在しえない、というものだ。
しかし、不法行為の裁判では、そんな冷たい論戦の仕方では被告は必然的に防戦一方になってしまう。なぜなら、ラウンドアップによって人身被害を被った主張の立証責任は原告側に完全に委ねられてしまうからだ。つまり、裁判を通して、モンサント側の発言の出番はほとんどなくなる。その間、陪審員にラウンドアップのせいで病気になったと少しでも思われてしまえば負けだ。
実際、裁判はこれまで紹介した凄腕弁護士の独壇場となった。陪審員の感情を揺さぶるような証言、証拠を次々と繰り出していく。
作業中、薬剤タンクのホースが外れ、ラウンドアップを全身に浴びた日のこと、そのあとに末期がんに侵され、余命わずかと診断された日のこと、家族と安らかに過ごす人生の後半が奪われたことなどなど、原告の悲話が続く。その間、ラウンドアップの危険性についてモンサントに何度も問い合わせたが、一切返答はなかったといった事実も交える。被告の故意を浮き彫りにするためだ。
そのうえで、医療関係者を呼び、こんな証言をさせる。
「ラウンドアップを全身に浴びると、皮膚の細胞を貫通し、(細胞の)組織に入り込み、そしてリンパ系、最終的に血液に達します」「私の医学的確信において、職場や農場でラウンドアップに接触する人にとって、それは実質的ながんの原因であると思います」
そして、陪審員に原告ジョンソン氏の痛々しい病変の画像を見せながら、「彼が2020年まで生き残れる可能性はほとんどありません」と締めくくる。

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