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特集

さらにラウンドアップの風評を正す


ここには日本がGM作物に抱えているような矛盾と複雑性がある。ラウンドアップを含めた植物保護製品ゼロを目指すため、ヨーロッパではゲノム編集で改良された品種を試みる可能性がある。しかし、この技術はヨーロッパでは承認プロセスが膨大で、また研究資金を集めることが困難なため、他国で研究開発をし、製造しなければならない。この製品を輸入し、ヨーロッパで栽培することになるのだろうか? 2030年までに残された時間は長くはないが、オランダがどこに着地点を見つけるのか注目したい。

【レスポンシブル(責任ある)イノベーション】

では、オランダやヨーロッパでなぜGM植物や遺伝子処理技術に抵抗感が示されているのか? 農村におけるイノベーション学の視点では、「消費者の想像の範囲を超える未知の技術(=イノベーション)」はイノベーターを含めた供給側の優れたマーケティングだけでは、社会の受容は達成できないとされている。
2016年に筆者も参加したWageningen大学就任記念講演で、Philip Macnaghten氏は、現在のGM作物の規制とガバナンスのアプローチは、ヒトと環境への影響に対するリスクベースの評価法であることを言及した。GM作物をめぐる一般市民(消費者)に対する議論は常に安全のために行なわれてきたが、「現在起こっているGM作物をめぐる論争の原因は、実は社会的、文化的、制度的なものが多く、技術的リスクの問題を超えている」と指摘した。また、GM作物を科学的だけではなく、社会的に揺るがない方法で管理するためには、関係者を巻き込んで検討し、議論の条件の範囲内で問題に取り組む必要があるとしている。
同氏を含めた研究者たちにより、斬新で変革の可能性がある技術の研究開発のために「レスポンシブル(責任ある)イノベーション」のフレームが開発され、2000年代前半ごろから活用されている。これは研究開発だけではなく、政策の開発や他のレベルでも、また農業技術でも適用できる可能性がある。
レスポンシブルイノベーションとは、社会に進歩した科学技術を適切に組み込むために、(1)倫理的な許容性、(2)持続可能性、(3)イノベーションプロセスの社会的望ましさ、(4)市場性のある製品の視点で、透明性が高く、市民とイノベーターが相互に責任を持って作用するプロセスのことを指す。
レスポンシブルイノベーションのフレームには、4つの側面;(1)Anticipation(予見、予知)、(2)Reflexivity (自己反省)、(3)Inclusion(包含)、(4)Responsiveness(応答)から構成されており、それぞれ技法やアプローチ例、影響に関与する要因について示されている(表1)。

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