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特集

さらにラウンドアップの風評を正す



(1)Anticipation(予見、予知)
研究者やイノベーターが「もしそうなら……」と予測しておくことで、回復力を目的とした体系的な思考力を得ること。ガバナンスの改善要求は、技術的懸念だけではなく、環境的懸念や学術的懸念などさまざまな原因で起こる。
(2)Reflexivity (自己反省)
科学とイノベーションの中で、倫理的な部分の分業について一般的な概念を再考すること。
(3)Inclusion(包含)
研究やイノベーションの問題、ジレンマについて幅広い視点を取り入れ、透明性が高く、オープンであること。
(4)Responsiveness(応答)
新しい視点、見解、規範のような新しい知識に対応するプロセスであること。

GM作物やグリホサートにまつわる議論は、製品自体のリスクや問題が議論の中心になっているようで、そこに問題がないことが証明されると、いつの間にか承認プロセスや研究開発・普及の透明性、反GM団体を含む一般市民への対応の議論にすり替えられているのではないだろうか? 実際にヨーロッパでは、グリホサートの承認プロセスや再評価のプロセスに関しても、機密情報もあるため、どこまでオープンにするかという点については課題があるが、オープンで透明性があることが常々求められている。また、開発や普及の比較的早期の段階で、農学や科学分野だけではなく、社会学や倫理学など別分野の専門家を巻き込んでコンセンサスを取りながら、開発や普及を進めていくことが社会に受容されるポイントとなる。
ただ残念なことに、現段階ではこのフレームが、GM作物やラウンドアップなどすでに成熟し、さまざまな議論がなされている技術に対し、ガバナンスを整え、社会に受容されるようなプロセスに設計し直すことができる可能性についてはまだ検討されていない。
しかし、学ぶ点はある。消費者や関係者に疑念を持たれたイノベーション・技術について、供給側は製品や技術に対する安全性の説明だけではなく、他分野の専門家や一般市民を巻き込んで「適正で透明な研究開発や承認プロセスを経たこと」や「現在や未来への展望との適合性」も合わせて説明することが、消費者や関係者の気持ちを前向きな方向に変えるきっかけとなるかもしれない。

アイダホでそんな騒ぎは起きていませんよ

村井 誠一

私は、アイダホ州で穀物農業に37年間従事しています。この一帯は丘陵の続く農業地帯で、主な作物は小麦や大麦、豆類、ひよこ豆、レンズマメ、ナタネなどです。個人的には、ラウンドアップはすでに37年間使っています。

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