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特集

さらにラウンドアップの風評を正す



【科学的な正しさと政治的判断は別】

昆 ラウンドアップ問題は、日本だけではなく、世界にも拡散しつつあります。米国カリフォルニア州での判決(詳細は24~29ページの浅川芳裕氏の記事を参照)、フランスでのラウンドアップとその関連商品の販売禁止措置はいずれもラウンドアップの危険性を証明したものではありませんが、こうした判決や法的規制が全米そしてEU全体、やがては日本に波及することを強く危惧しています。唐木さんは海外のこうした動きをどう見ていますか。
唐木 私は若いころ、テキサス大学で働いたことがあり、当時からの友人にカリフォルニアの件を聞いたことがあります。アメリカ中西部に住む彼からすると、カリフォルニアと東部海岸沿いに住んでいるのは「一般的なアメリカ人ではない」と。差別的な意味ではなく考え方が違うそうです。
昆 米国アイダホ州で30年間農業に取り組み、ラウンドアップを使用し続けている農業経営者(詳細は33ページの村井誠一氏の記事を参照)によると、カリフォルニアの判決はほとんど報道されていないそうで、いまのところ、中西部の農業地帯への影響はないようです。
唐木 私の感覚ではカリフォルニア州の考え方、政治的手法はEUに似ています。どういうことかというと、EUの政治の主流は国際関係や科学より、多数の国民(市民)感情を大事にするポピュリズムに変化しています。多くの国民が不安に感じているものなら、非科学的な根拠であっても販売を禁止したり使用を控えさせるような措置を取る。そうすることで政権の安定を図るという手法です。政治家としてはあり得る態度で、科学を守るのが政治の目的ではないですからね。
昆 EUの場合、米欧の貿易問題も背景にありますよね。ラウンドアップを禁止の方向に持っていくことで、米国からの農産物輸入の機会を減らせます。
唐木 おっしゃる通り、EUの政治にとっては二重のメリットがありますね。
昆 日本の政治手法もポピュリズムに寄っているようなので、ますますラウンドアップ問題が日本に波及しないかと憂慮せざるを得ない状況です。日本の政治はどう動くと思いますか。
唐木 日本の政治が独自にプラスの方向に動くことは期待できないと思います。
昆 とはいえ、農薬の基準はほぼ世界共通で、一般常識があればラウンドアップの安全性は自明の理だと思うのですが。
唐木 そこは先ほど指摘した専門家が信じられるのかという問題とつながってきます。専門家が科学的な根拠を示して基準値以下の使用は問題ないと主張しても、国民感情として信じられるかどうか。いまは正しいとされているが、子どもや孫の代ではわからないなどと言われます。情報伝達や先入観の問題もあり、専門家を信じきれていない方が多いようです。

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