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特集

さらにラウンドアップの風評を正す


昆 前号を発行してみて本誌としてももっと取り上げるべき問題だと思いましたし、本誌で特集するだけではなく、一般受けするGMや科学リテラシーの専門家に話してもらうイベントが生産者や消費者を集めてできないかと考えたりしています。
唐木 ラウンドアップ問題に関しては、リスクコミュニケーションの基本であるどこを抑えたら物事が動くという簡単な図式には当てはまりません。最終的には消費者が買ってくれるかどうかで物事が動きますので、我々の現時点での答えとしては、メディアとの意見交換会を行なうことです。定期的に意見交換をして正しい情報を提供していれば、少なくとも農薬は怖い、添加物は怖いといった変な記事は出にくくなります。ただ、それでも日常的に付き合いのある科学部や家庭部の記者たちはわかってくれていても、付き合いのない社会部の記者は違います。農薬や添加物のリスク報道に流されてしまう。社会部対応が喫緊の課題ですし、ラウンドアップの風評被害を最小限にすることが先決です。
昆 いまは農家が「ラウンドアップを使っています」と表立って言えない状況で、とても正常とは思えません。

【科学・リスク教育の基本を押さえる】

昆 前号の特集に関しては、農業経営者や関係者の方から「よくぞ言ってくれた」という好意的な反応がありました。一方で、反対派からの意見もありました。ラウンドアップ反対派の主張は、自然が安全、ラウンドアップは人体に残留しないはずが、髪の毛に残留しているという論文が出た、農作物が発芽障害を起こした、というものでした。フランスの高級紙『ルモンド』が危険性を指摘する記事を載せたという情報もフェイスブックを通じて寄せられました。
唐木 ほぼフェイクニュースばかりですね。そもそもラウンドアップの発がん性を指摘したフランスの大学教授が書いたセラリーニ論文ですら、科学的には否定されています。
昆 論文で髪の毛にラウンドアップが残留した、とされる件についてはいかがですか。
唐木 その件は科学者による確認もされていませんし、だから論文として発表もされていませんので真偽は不明ですが、計量法が発達した現在ではごく微量の残留物でも検出できます。反GM派はそれをもって、ラウンドアップの人体には残留しないという根拠が崩れたと主張するわけですが、ちょっと待ってくださいと。それは科学ではありません。本当に微量の残留物を検出したとしても、その量は人体や環境に影響するものなのか。影響するならどのように影響するのか。あるいは影響するどころか自然と消えていくくらいの微量なのではないか、と突き詰めていく科学的根拠に基づく検証が必要です。

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