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特集

さらにラウンドアップの風評を正す


じつは“量”とその影響を議論せず、“あるかないか”を声高に主張するのも、非科学的な活動団体がよく使う、いつもの手なんです。たとえば、動物実験で火をつけたい物質を大量投与し、発がん性などの影響が出ることが立証されたなどという。化学物質を大量投与すればなんらかの影響が出ても不思議ではありませんし、その投与量は人体に換算すれば即死するほどの量だったりします。あり得ない前提で動物実験し、証拠が“出た”と主張するための疑似科学的実験です。大量なら危険だが、微量(基準値以下)なら影響はない。量と作用の関係という科学教育・リスク教育の基本から逸脱しています。
昆 そういう科学教育は進んでいるのでしょうか。
唐木 福島原発の風評被害を受け、政府も力を入れるようになりました。十分かといわれればそうではないかもしれませんが。
昆 ぜひ進めてほしいですね。そうしないと今後、EUでは、米国では、という話になったときに日本は対抗できません。前号の記事に引き続き、貴重な話をどうもありがとうございました。 (構成/清水泰)

ラウンドアップ裁判の深層分析【前編】なぜ科学は裁判に敗れてしまうのか? 凄腕弁護士の訴訟テクニックを完全解剖

ラウンドアップをめぐる裁判には日本では報道されない二つの側面がある。一つは弁護士業界にとって巨額収入が見込める「訴訟ビジネス」としての側面(前編)。もう一つは民主党と共和党間の「政治闘争」としての側面である(次号の後編)。今後の裁判の行方、そしてラウンドアップの運命は、米国独自のこれら二軸の構造的な理解なくしては見通せない。一連のラウンドアップ裁判録をもとにジャーナリスト・浅川芳裕氏が解説する。

米国カリフォルニア州でがん患者が農薬大手モンサント社を相手取り、巨額の賠償金を求める裁判が続いている。これまで三度の民事裁判で評決が出ているが、いずれも原告が勝訴。陪審団がモンサントに支払いを命じた損害賠償額は総額2500億円(注1)を超える。さらに、同様の訴訟を控える原告は全米で1万3000人に上るという。
このような裁判報道に接すれば、ラウンドアップの危険性が証明されたとの印象を受けるかもしれないが、真相はそんなに単純ではない。複眼的にラウンドアップ訴訟の本質に迫っていく。

注1:三つの裁判の補償的損害賠償額と懲罰的損害賠償額を合計した金額。2018年8月10日の評決:約320億円、19年3月27日:約88億円、同5月13日:約2200億円。あくまで陪審団が認定する金額であり、裁判官がその額を不当と見なせば減額されるケースもある。本件では、被告がすべて上告しているため、実際に支払われているわけではない。

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