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特集

さらにラウンドアップの風評を正す



【訴訟ビジネスの大きな獲物がラウンドアップの製造元であるモンサントだった】

まずは、弁護士業界の視点から見ていこう。
一連の訴訟の口火を切ったのは無名の若手弁護士ティモシー・リッツンバーグ氏である。昨年8月10日、モンサントを相手取り、末期がん患者(校庭管理人のジョンソン氏)を原告とする裁判で初めて勝訴し、総額320億円の賠償金認定に導いた。いわゆる「ジョンソン対モンサント事件」だ。
一躍有名となったリッツンバーグ氏は、訴訟の経緯と勝訴の秘訣を率直に明かしている(以下、母校リッチモンド大学の取材記事を抜粋要約)。
「私の専門は発がん性商品の不法行為を問う訴訟案件だ。担当していたがん関連裁判が一息ついたので、事務所にとって次の大きな獲物を探していた。そんなとき、世界保健機関(訳注:実際はその外部機関のIARC注2)がグリホサート(ラウンドアップの主成分)に発がん性があるとの発表を知った。そこで、製造元モンサントを相手取って裁判を起こすことを決め、(原告の)一般公募を開始した。そして現在、モンサントに対し、2000件の訴訟を起こしている(昨年8月20日現在)。多数が勝訴することになるだろう。通常、こうした訴訟は段階を踏んで進めるが、当事務所はアグレッシブで一気に進める。集団訴訟におけるパンク・ロック(既成概念を破壊するたとえ)のように」

注2:IARC発表内容の問題点については本誌6月号特集を参照。

要するに、訴訟ビジネスである。被害者からの訴えを受け、裁判を起こすのではない。絶えず、商売になりそうな“がん裁判ネタ”を探しているわけだ。そこでたまたまヒットした新ネタがラウンドアップで、その製造元がモンサントという大きな獲物だったのだ。
リッツンバーグ氏はこのネタをどう料理していったのか。
同氏の裁判での弁護発言録を読んだが、陪審に対して「巨悪企業VS弱い被害者」との構図に訴える印象付けがうまい。若いイケメン弁護士で、メディアへの露出にも長けている。こうして世論も味方につけ、賠償金の相場観を挙げながら、原告一人ひとりを勝訴に導いていくのだ。最後は、背後に控える膨大な原告数を武器に被告のメーカーに圧力をかける。そして、一気に巨額の集団和解金を引き出そうというビジネスモデルである。
一審で勝訴したリッツンバーグ氏は判決後、所属していた法律事務所から独立。ラウンドアップ裁判をメイン商材にしたがん訴訟専門事務所を設立し、モンサントに対して新たな訴訟を次々と起こしている。訴訟ビジネスの成功者だ。

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