ナビゲーションを飛ばす



記事閲覧

  • このエントリーをはてなブックマークに追加はてな
  • mixiチェック

実践講座:したたかな農業を目指す会計学 続・入るを計り出を制す!

費用対効果と投資対効果(7) 農家版の“働き方改革”編

農業界も他人事ではない

今年掲げてきた費用対効果、投資対効果のテーマのなかで、最も難しいのは「人に関わる費用」ではないだろうか。本連載でも人材と雇用の話は何回かに分けて取り上げたが、機械や施設などのモノと違って、デリケートな部分が多いからである。
かつての貧しい時代は「働かざるものは食うべからず」という社会通念があって、働き者が賞賛されていた。ところが、社会情勢の変化により「ライフワークバランス」「家族サービス」といった言葉が生まれて、がむしゃらに働くことだけが良いことではなくなってきた。ここ数年は厚生労働省が打ち上げた“働き方改革”の旗印のもとで加速し、制度化も進められているとおりである。
小規模事業者の多い農業界でも、雇用をしていれば他人事では済まされない。厚生労働省が作成したリーフレットを読み直してみると、中小企業や小規模事業者にこそ「魅力ある職場づくり」→「人材の確保」→「業績の向上」→「利益増」という循環をつくるよう呼びかけている。とはいっても、農業は品目や作目、その組み合わせ方によっても、働き方は違ってくる。季節や天候で適期が左右される業種だけに、その対応は難しい。
多くの経営者がオペレーターを兼ねている現状では、雇用者の働き方改革の進め方を誤ると、経営者がカバーする部分が増えて、経営を圧迫することもあり得る。1000人の経営者がいれば、1000通りの経営があっていいはずだが、働き方改革に挑む考え方は共通すると思う。そこで、今月は農業界の働き方改革について取り上げてみたい。

死ぬほど作業に没頭しても理想に近づかないジレンマ

働き方改革と聞いて、まず思いつくのは、家族のみの個人経営か、法人経営かの違いである。すでに雇用をしている経営では、従業員やパート・アルバイトの働き方を第一に考えなければならない。労働基準監督署をはじめとする指導・監督機関もある。その旗振りに従って、法令を遵守し、既存の就業規則を見直したり、社会保険や管理体制の組み立て方を再検討したり、いわゆる“サービス残業”や“ブラック企業”に該当しないように努めることである。
一方で、雇用をせずに家族労働、もしくは経営者のみで作業を組み立てている経営では、自身の労働時間の改善に集約される。ともすると家族サービスを充実させることが働き方改革だという人もいるが、別物として考えるべきだと思う。あくまでも働き方改革の目的は、経営を継続・発展させることである。若いうちはがむしゃらに働けるかもしれないが、私も年々無理が利かなくなってきたことを実感している。経営者自身が働き続けられることが、事業を継続するための最優先事項であり、結果的に家族のためになるのではないだろうか。

関連記事

powered by weblio