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この部分は法人経営の経営者にとっても同じことが当てはまる。究極を言えば、経営者は自分で休みを設定できる。それだけに、働き方改革は自身でコントロールしなければならないためだ。私の場合は、死ぬほど作業に没頭するだけでは理想の経営に近づくことができないとわかってきたので、家族や従業員の働き方に偏りが生じないように目配り・気配りをして、仕事にメリハリをつけるようになった。
日曜休みは必要か経営に見合った休暇とは
次の検討ポイントは、日曜休みや朝晩の労働に対する考え方である。今年のゴールデンウィークは10連休と騒がれたが、繁忙期に追われた農家のほうが多いだろう。農家だから日曜休みや朝晩の労働を厭わないのか、農家であっても日曜休みにそぐわせたほうがいいとするのか、ここは分かれるところである。
ほかの業種に照らせば、学校の先生の働き方改革では、日曜日に部活の大会を開催しないようにしようという動きが出ている。熱血教師が評価される反面、日曜日に大会がなければ、先生も休めるという話になっているのだ。その一方で、田舎でもコンビニエンスストアなどは休みなく営業しているし、飲食店や商店などで働く人に土日休みはない。通年で変わらないサービスを提供し続けるためには、定期的に休みをとりながら働いたほうが長続きするという考え方が浸透している。
農業でも、畜産など生き物を相手にしていると、365日アプローチしなければならないので、残業が発生しない働き方を心がけて、週1日休みをつくるほうが、働きやすくなるだろう。同じ作業内容をコンスタントに実施することが求められるので、予めシフトを組んだり、ヘルパーを依頼したり、やりくりしやすいのではないだろうか。
それに対して、土地利用型の品目は農繁期に仕事量が集中するので、天候等に合わせて働くのが最も効率の良い働き方になる。日曜休みを遵守するより、柔軟な働き方が求められるので、一般的な働き方改革を適用するのは得策とはいえない。月単位あるいは旬単位で休暇をとるほうが経営への貢献度が上がるというわけだ。このあたりの共通理解が得られていないと、不平不満が噴出したり、長続きしなかったりするので、配慮が必要である。間違っても「農家なんだから当たり前だ!」と一喝するのだけは避けたい。
働き方改革の真髄は作業の質の差を埋めること
よく息子には任せられないと話す親父さんの話を聞くが、その気持ちは実によくわかる。その逆で、息子が親父には任せられないという話もまた然りである。我が家でも365日のなかでシフトを組んでみたり、改善を試みたりやりくりするなかで、自分か家族か、従業員か、誰が作業をしたかで差が出ることが最もネックになることがわかってきた。
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齊藤義崇 サイトウヨシタカ
1973年北海道生まれ。栗山町在住。昨年、普及指導員を退職し、実家の農業を2014年から営む。経営は和牛繁殖、施設園芸が主体。普及指導員時代は、主に水稲と農業経営を担当し、農業経営の支援に尽力した。主に農業法人の設立、経営試算ソフト「Hokkaido_Naviシステム」の開発、乾田直播の推進、水田輪作体系の確立などに携わる。
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