ナビゲーションを飛ばす



記事閲覧

  • このエントリーをはてなブックマークに追加はてな
  • mixiチェック

スーパー読者の経営力が選ぶあの商品この技術

(有)盛川農場 盛川周祐氏/岩手県花巻市

圃場作り・土作りの思想から機械利用の知恵。紙数の制約から機械選びのすべてを紹介し切れないのが残念だ。ここでは、盛川氏の経営観と機械技術の一端を紹介して、府県の水田転作を本作化するためのヒントにしたい。
 減反が始まって36年。果たして府県の水田地域に畑作の土壌管理や機械化の考え方は定着したか? 多くの場合、水の恵みを前提とした稲作の技術観から脱してはいない。

 盛川周祐氏は違う。北海道の優れた畑作農家に学んだ氏は、従来の水田農業の枠を越え、畑作農業の経営観と技術を自分のものとしている。それが水稲の作柄にも良い結果をもたらしている。

 盛川氏の経営耕地は46ha。地目は水田であるが、イネの作付けは9.6ha(うち乾直70a、湛直60a)。小麦25ha、大豆11ha、ソバ1ha、それに今年試験的に作ったジャガイモが0.3haと畑作が主体の経営だ。

 基本は畑作りと土作り。それに工程管理思想に裏付けられた緻密な作業の組み立てだ。収穫は最後の作業ではなく、次作の始まりとなっている。7月末、収穫2週目の麦跡にはクズ大豆の緑肥が芽を出していた。一連の作業は雪が降る前に麦ワラの腐食を進めるため。それが寒冷積雪地の畑作の原則だ。その丁寧で緻密・計画的な土壌管理が畑作の基本なのだ。そんな「工程管理」の徹底が単なる省力ではなく質の高い畑作を可能にしている。

 6台のトラクタから工夫されたライスセンターと呼ぶべき乾燥調製施設。営農レベルで使用する基盤整備用機械から土作業機をはじめとする多様な機械設備。その装備は並ではない。しかし、土関係の作業機を除けばトラクタもコンバインもほとんどが中古品。高い整備技能とともに部品表をチェックして消耗部品を常備する。その知識と技術が投資額を最小限に留めている。(昆吉則)

関連記事

powered by weblio