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土門「辛」聞

まだまだ不安をぬぐいきれないドローンによるスマート農業

ナイルワークスが「Nile-T19」の出荷販売を6月から始めた。同社が掲げる「精密農業」実現に向けた量産化モデルの第一弾となるドローンだ。スマート農業実現を目指すITベンチャーのオプティムは、5月に前の農水事務次官だった奥原正明氏を顧問格で迎えた。相変わらずスマート農業やドローンの話題オンパレードだ。

「精密農業」は農業現場で受け入れられるか

ナイルワークスは、「Nile-T19」をソニー系列のパソコン・メーカー「VAIO」(長野県安曇野市)に生産を委託。パソコン業界メディアのPC Watchは、5月27日付けで生産について「今年は100台、来年は500台、2年後には2000台を目標」と報じている。
注目すべきは、誰が「Nile-T19」のローンチ・カスタマー(後ろ盾となる顧客)になるかだ。現時点で明らかになっているのは、販売元締め役が、全農と住友商事の2社。どちらもナイルワークスへ出資している。ナイルワークスは、農協ルートと非農協ルートの二方面作戦での販売戦略を立てているようだ。
農業現場で「Nile-T19」が受け入れられるかどうか。すべてはユーザーたる農業者が決めることだ。彼らが判断するのは、価格と性能に加えて、精密農業なりスマート農業に対する受容度にある。まず価格と性能についてカタログ・スペックやメディアが伝えた情報などから分析、次いでスマート農業が抱える基本的な問題点に触れてみたい。
まず価格。同社ホームページには価格についての記述は何もない。3月19日付け農業協同組合新聞が、基本的にはオープン価格とした上で、参考価格は「550万円(本体約500万円、保守約50万円)」と伝えている。ナイルワークスは、製品カタログに掲載した「基本セット」に保守費用を含めた価格と説明。セットの中身は次の通りだ。
「(1)機体(生育監視カメラ付き)1機、(2)ドローン用バッテリ2個、(3)ドローン用バッテリ充電器1台、(4)基地局1セット、(5)測量機1セット、(6)基地局&測量機用バッテリ2個、(7)基地局&測量機用バッテリ充電器1台、(8)操縦用タブレット1台」
日本国内で7割以上のシェアを誇る中国DJI製農業向けドローン「AGRAS MG-1」との違いは、機体に生育監視カメラがついていること。ナイルワークスが売り物とする生育診断や収穫予測に必要な撮影のためだ。散布作業中心の「AGRAS MG-1」は、一般的には、ドローン操縦の講習費用を含めて税込み240万円程度で販売されている。
単純な比較はできないが、両機を比較した宮城県内の農業関係者は、「機体の完成度は圧倒的にDJI製に軍配が上がる。問題は生育診断や収穫予測の機能をどう評価するかだ」と感想を漏らす。

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