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「昨年、(ドローンを使って)コメを200トン作りました。生産者は当初、疑心暗鬼でした。(ドローンに搭載した)AIが『ここは農薬を撒かなくていい」と判断すると、私たちも驚きますが、生産者はもっとびっくりする。それまで農薬を撒かないことなどなかったからです。今回、無農薬や減農薬栽培に成功したので、信頼してもらえたと自負しています。生産者にはドローンやピンポイント農薬散布技術を無料で使ってもらい、できた農産物は当社が市場価格で買い取ります」
この記事を目にしたとき、どう論評したらよいものか、ずいぶん思案したが、「支離滅裂」という文言しか思いつかなかった。これはビジネスではなくボランティア活動かCSR活動(企業の社会的責任)としか思えない。
自前のドローンすら用意できぬオプティムが、18年8月から「ドローンパイロットシェアリングサービス」に取り組んでいる。何のことはない、ドローン操縦者の人材派遣だ。無料かと思っていたら有料らしい。「農薬散布防除サービス」なるサイトには、「お試し20a(2反)散布無料」のキャッチコピーが目に入ってきた。
ドローンは、農薬や肥料などを散布するのに適したツールだ。それが証拠にラジヘリによる散布作業に取って代わりつつある。ドローンによるスマート農業や精密農業の実現は、決して見果てぬ夢とは言うつもりはないが、ここはまず散布作業で足下をしっかりと固めることが先決問題ではなかろうか。
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【前月号の訂正】49ページ、ナイルワークス製ドローン「Nile-T18」の測位精度についての記述部分。測位精度がカタログ・スペックに記載されていないと書いたが、その後確認したところ、「スペック」欄ではなく、「機体の特長」の「(2)高精度飛行」という項目に「±2cmの水平位置精度と±5cmの高度精度」という説明があった。よく確認しなかったことから起きた間違い。お詫びして訂正する。
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土門剛 ドモンタケシ
1947年大阪市生まれ。早稲田大学大学院法学研究科中退。農業や農協問題について規制緩和と国際化の視点からの論文を多数執筆している。主な著書に、『農協が倒産する日』(東洋経済新報社)、『農協大破産』(東洋経済新報社)、『よい農協―“自由化後”に生き残る戦略』(日本経済新聞社)、『コメと農協―「農業ビッグバン」が始まった』(日本経済新聞社)、『コメ開放決断の日―徹底検証 食管・農協・新政策』(日本経済新聞社)、『穀物メジャー』(共著/家の光協会)、『東京をどうする、日本をどうする』(通産省八幡和男氏と共著/講談社)、『新食糧法で日本のお米はこう変わる』(東洋経済新報社)などがある。大阪府米穀小売商業組合、「明日の米穀店を考える研究会」各委員を歴任。会員制のFAX情報誌も発行している。
土門辛聞
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