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新・農業経営者ルポ

地域に愛される養豚業を目指して



幼稚園から高校まで食育に関与

毎年、祭のなかで舞米豚を使った料理のコンテストも開く。「汁もの」「モモ肉料理」といったテーマを決め、独自のメニューを開発してもらう。特別審査員と祭の参加者の投票で優勝者を決める。山形県立山辺高等学校には、県内の公立学校で唯一の食物科があり、生徒には料理コンテストに毎年出品してもらう。ほかに山形学院高等学校(山形市)や町の商工会女性部も出品してくれる。「舞米豚を使ったメニューをたくさん開発してもらいました」と阿部は目を細める。
町内の小学校や幼稚園、保育園での食育にも積極的だ。町内の小学生に農場まで来てもらい、豚がどのように育つのか知ってもらう機会も設けてきた。口蹄疫や豚コレラの流行があり、防疫を強化するなかで農場には招きづらくなっているものの、食育教育は続けていく。給食で舞米豚の料理が出る日に学校を訪れ、どうやって育てているのか話すこともある。
この5月に職業体験で受け入れた中学生には、豚舎の清掃や給餌、ワクチン接種の手伝いをしてもらった。生徒からは「前よりも生き物に感謝できるようになった」との感想が寄せられた。
同社は市街地を離れて松山農場に移ってからも、地域との間にトラブルを抱えたことがある。2000年代の前半、排水が法律の基準を満たしていても、地域住民の合意が得られず、流せない時期もあった。そうした問題を乗り切るために苦労し、乗り切ってしばらくして飼料用米の話が舞い込んだ。いまでは地域住民と仲良くなれ、認められるようになったと感じている。
会社が規模拡大するにつれ、家業から企業に変わってきた。試行錯誤の最中にあり、人手不足も課題で、人材育成を行なう力を付ける必要がある。そもそも山辺町が高齢化しているのもあるが、養豚ということで一層人が集まりにくいと感じている。

あこがれられる養豚業を目指して

地元だけではなく、国内の養豚業全体の地位向上も目指す。一般社団法人日本養豚協会(JPPA)で2011~13年に青年部長を務めた際、養豚業全体の地位向上を目指し、積極的に動いた。国産豚肉のファン獲得を目的にイベントも開いた。
経営理念の筆頭に「食へのこだわり」として「私たちは命を尊び、食に想いをのせて食卓に笑顔を届けます」と宣言してある。命を扱う仕事だけに、それをしっかりと食卓まで届けよう、つなげようという思いが込められている。「豚を飼っているのではなく、食品を作っているんだという意識を社員と共有しよう」と定めた。

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