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特集

山菜を農産物に


下川原氏の農場のウルイの出荷量は、1袋4~5本入りの150gが1シーズン約5000袋。地元でも首都圏でも手が出やすい100円台で販売できるように、数年前に200gから150gに減らしたのだという。
地元の直売所でも、天然ものや自家栽培のものが容易に手に入るのにもかかわらず、サラダウルイは人気だ。現在、出荷量の8割は地元で販売され、2割が首都圏で販売されている。
「地元でもサラダウルイが売れるのは、やはり天然ものより食べやすいからだろう」
研究会では、タラの芽とギョウジャニンニクの出荷も始めている。下川原氏は、タラの芽が採れるタラノキの栽培を始めた。それまでも洋野町ではタラの芽を栽培してきたが、4、5年で枯れてしまう。そこで、山形県の真室川町で10年以上持つという「あすは」を育成した人から株を譲り受け、さらに選抜しながら栽培していった。タラの芽も首都圏では売れ行きが良く、半数は地元の直売所、半数は首都圏の直売所などに出荷されている。
「最近は、地元でも山菜を買う人が増えてきました。いまは果樹と並び山菜が経営の柱になっています。ホウレンソウを1年生産するのと同じぐらい収益がある。売れるようになったので、みんなもつくりやすくなったと思います」

【年中出荷で忙しい経営にしたい】

下川原氏は年中忙しい。12月、ハウス3棟でウルイの仕込みを始める。株を増やすために栽培していた移動専用ハウス3棟から、半促成栽培用のハウスに移植する。電熱線で加温しながら2月初めから出荷を始める。同じく12月、タラの芽も準備を始める。タラノキの枝を伐り、芽が出てくる節を残して短く切り分け、ハウス2棟で水耕栽培する。1カ月ほどで育つので、1月下旬から収穫を始め、収穫し終えたらまた水耕栽培し、4月下旬ごろまで出荷を続ける。研究会の会員にもタラノキの枝を切って販売している。
3月からは、タラの芽のハウス1棟を野菜の育苗に使用し、4月からウルイの移動専用に使用したハウスでトマトやキュウリを栽培する。
5月には、露地栽培のタラの芽が一斉に収穫適期に入るので、大忙しだ。山菜の出荷が終わると、7月からは野菜と果樹の出荷が始まる。
こうして、作物と労働とハウスの運用をうまく組み合わせている。
「果樹は7月から1月まで、山菜は2月から5月まで。山菜はちょうど果樹の出荷と重ならない時期にできます。だから年中忙しい。山菜栽培を取り入れたのは、そもそも年中作物を出荷できるようにしたかったからです。これまで6月が空いているので、今年はサクランボを植えました(笑)」

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