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今月の数字

1万1,700t(JAきたみらいのたまねぎ貯蔵施設能力)

ここ数年、業務用たまねぎの産地化が各地で進んでいる。2017年の国産たまねぎは、10年前に比べ作付面積は増加したものの、出荷量は1,099千tとほぼ横ばいであり、輸入量が294千tある。これら需要量のうち約6割は加工業務需要であり、そこに占める輸入の割合が高いことから、生産振興が叫ばれてきた。
そもそも、国産たまねぎの追加需要はどのくらいあるのだろうか。輸入分294千tは国内平均収量で計算すると6,800ha分になるが、価格差や季節による需給バランスを考慮する必要がある。CIF価格が67円を超える高価格帯での輸入は輸入量全体の8%に当たる22千tであり、国内平均収量で計算すると約500ha分となる。これまで国産が品薄とされてきた7、8月の輸入量は直近の2017年では他の月に比べむしろ少なくなっているが、7、8月の輸入の国産化を狙うならば1,000ha分となる。3,000ha分の需要はあると見る関係者もいる。
供給側を見ると、たまねぎの従来からの主産地は北海道、佐賀県、兵庫県、愛知県、長崎県で出荷量全体の88%を占めており、他の生産県では100~200ha前後の作付規模である。生産振興に大きな影響を及ぼす取り組みが富山県、秋田県、埼玉県、北海道で進行している。富山県は、水稲の作付けが中心で野菜生産額はダントツ最下位であり、「せめて下から二番目に上がりたい」と水田転作作物の導入による1億円産地づくりの一環として取り組んできた。JAとなみ野は2009年産からたまねぎの産地化に取り組み、2010年には9億5,000万円の事業費で床面積2,997平方m、作業能力1日60~100tの集出荷貯蔵施設を整備した。2018年産は131経営体、作付面積192haに拡大し、今後はオール富山県で拡大する。JAとなみ野のスゴイところは水田転作でも平均収量が4.4t/10aと高いことだ。愛知県や佐賀県など主産地に並んで関東近郊を上回る収量は、栽培技術や収穫機械も地元の自然条件・経営条件に合わせて独自に開発してきた成果だ。野菜生産額「最下位県」のたまねぎ出荷量が12位となる目覚ましい結果に新規参入を考える全国の農業団体から視察がやってくる。

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