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農業は先進国型産業になった!

日本ワイン比較優位産業論 現地ルポ 第7回 日本の食文化を表現世界と勝負するワインをめざす ドメーヌ タカヒコ(北海道余市町)


また、ワイン用ブドウの栽培適地は北緯30~50度、南緯30~50度、年間平均気温10~16℃の地域に限られている。この帯はワインベルトと呼ばれている。北半球ではフランス、イタリア、スペイン、ドイツ、米国、南半球ではチリ、アルゼンチン、オーストラリア、ニュージーランド、南アフリカがこの帯の中に位置している。余市町の緯度は北緯43度でワインベルトにある。
ただし、醸造用ブドウはマイナス20℃を下回ると凍害を受ける。余市の年間平均温度は8℃で冬を越せないはずであるが、余市町は積雪が多く、冬季はブドウの木は雪で覆われているので凍害を免れている(ちなみに、日本の北緯30~50度は鹿児島県十島村から樺太まで)。
表3は、ワイナリーの新規参入を示したものである。この10年で、余市町には新しいワイナリーが続々と誕生、現在、11のワイナリーが立地している。うち5軒は「ワイン特区」を活用して小規模で参入したものである。経営者は東京、茨城、長野、秋田、札幌などの出身で、全国各地から来ている。新規就農希望があと8軒見込まれているようだ。なお、隣の仁木町は現在3軒であるが、近日中の新規参入予定が2軒ある。
表4は、余市税務署管内のワイン生産の推移である。北海道全体のワイン生産は横ばいであるが、余市管内の伸びは大きい。従来は、余市町はブドウが“余剰”と言われたが、近年は町内でワイナリーが増え、栽培面積は増えているにもかかわらず不足気味になっている。醸造用ブドウは奪い合いになり、価格が30%くらい上昇した。ピノノワールの場合、10年前は1kg200円であったが、いま400円である。

2 科学するドメーヌ タカヒコ

余市町登地区に、国際水準のワイン造りを期待されている「ドメーヌ タカヒコ」(曽我貴彦代表)を訪問した。家族経営の小さなワイナリーである。町の中央を流れる余市川の右岸、標高60m、南東向きの緩やかな丘陵地にある。畑はビオロジック(有機栽培)で管理されたピノノワールが植えられていた。
曽我貴彦氏(1972年生)は、長野県小布施のワイナリーの次男で、大学で醸造学を学び、一時は微生物研究者への道へ進むが、ワインの魅力が忘れられず、10年間、栃木県のココファームワイナリーで働き、その間、日本中、世界中のワイン産地を巡り調べた。
また、ココファーム醸造責任者の米国人ブルース・ガットラヴ氏(カリフォルニア大学デービス校醸造学科卒)に出会い師事した。「ブルースはブドウ栽培やワイン造りに対して、まだ日本人が知らない情報をたくさん持っていた」。ブドウ栽培コンサルタントとして世界的に有名なリチャード・スマート氏からも多大な影響を受けた。

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