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【知っておきたい 世界各国の産業用ヘンプ】
ベルギー 環境負荷を抑えるヘンプクリートが新たな需要拡大の鍵を握る
- NPO法人バイオマス産業社会ネットワーク 理事 赤星栄志
- 第20回 2019年07月31日
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ベルギーは、人口1123万人、国土面積は日本の約12分の1で、ビールやチョコレート製品が有名である。
首都ブリュッセルは、欧州の首都機能を持つことでよく知られている。ほかの欧州諸国と同様に帆船の時代にヘンプ栽培が盛んだったが、1961年の麻薬単一条約による規制を受けて、ベルギー国内での栽培もすべて禁止された。
一方、この国で繊維作物といえば、ヘンプではなく、亜麻(フラックス)である。欧州一の亜麻の生産拠点であるフランス北部と隣接しており、いまでも欧州第2位の栽培規模を誇っている。そのため、90年代に欧州各地でヘンプ栽培が復活したときに、一次加工の工程で繊維とオガラ(麻幹)を分離する解繊機は、亜麻の繊維加工の機械を応用した。
ベルギーで1908年に創業したヴァン・ドンメレ社(現・ValtechグループのCRETES)も解繊機メーカーの一つである。フランスに隣接するウェフェルヘムに拠点を置くこの会社は、亜麻の繊維加工だけでなく、廃棄物処理、分別リサイクル、織物加工、不織布や板材加工、バイオマス処理と繊維系のものをエンジニアリングする技術力を持ち、ヘンプの一次加工工程の解繊処理ラインの開発を手掛けている。
畑から収穫されたブロック状またはベール状のヘンプ藁束は、巨大な歯で裁断され、そこに強い衝撃を与えて繊維とオガラに分離して、ふるいにかける。原料の25~30%が繊維に、55~60%がオガラに、5~10%が細かい塵として回収される。同社の解繊処理ラインは、1時間当たり3tのヘンプ藁束を処理でき、作付面積に換算すると1000~1500ha規模になる。紡績用から不織布までの最終製品に求められる繊維品質によって設備の仕様は異なるが、一次加工ラインへ投資金額は一式で2億5000万~3億5000万円となる(図1)。
一方、この国で繊維作物といえば、ヘンプではなく、亜麻(フラックス)である。欧州一の亜麻の生産拠点であるフランス北部と隣接しており、いまでも欧州第2位の栽培規模を誇っている。そのため、90年代に欧州各地でヘンプ栽培が復活したときに、一次加工の工程で繊維とオガラ(麻幹)を分離する解繊機は、亜麻の繊維加工の機械を応用した。
ベルギーで1908年に創業したヴァン・ドンメレ社(現・ValtechグループのCRETES)も解繊機メーカーの一つである。フランスに隣接するウェフェルヘムに拠点を置くこの会社は、亜麻の繊維加工だけでなく、廃棄物処理、分別リサイクル、織物加工、不織布や板材加工、バイオマス処理と繊維系のものをエンジニアリングする技術力を持ち、ヘンプの一次加工工程の解繊処理ラインの開発を手掛けている。
畑から収穫されたブロック状またはベール状のヘンプ藁束は、巨大な歯で裁断され、そこに強い衝撃を与えて繊維とオガラに分離して、ふるいにかける。原料の25~30%が繊維に、55~60%がオガラに、5~10%が細かい塵として回収される。同社の解繊処理ラインは、1時間当たり3tのヘンプ藁束を処理でき、作付面積に換算すると1000~1500ha規模になる。紡績用から不織布までの最終製品に求められる繊維品質によって設備の仕様は異なるが、一次加工ラインへ投資金額は一式で2億5000万~3億5000万円となる(図1)。
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赤星栄志 アカホシヨシユキ
NPO法人バイオマス産業社会ネットワーク
理事
1974(昭和49)年、滋賀県生まれ。日本大学農獣医学部卒。同大学院より博士(環境科学)取得。学生時代から環境・農業・NGOをキーワードに活動を始め、農業法人スタッフ、システムエンジニアを経て様々なバイオマス(生物資源)の研究開発事業に従事。現在、NPO法人ヘンプ製品普及協会理事、日本大学大学院総合科学研究所研究員など。主な著書に、『ヘンプ読本』(2006年 築地書館)、『大麻草解体新書』(2011年 明窓出版)など。 【WEBサイト:麻類作物研究センター】http://www.hemp-revo.net
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