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カルフールは、市場対策として2016年に新たな店舗形態を打ち出した。「プレミアム」「グルメ」といったキーワードを掲げた「マーケット サン・マルセル」の実験店舗だ。パリ市内にオープンさせたが、ネット検索しても各地で拡がったというニュースはない。線香花火に終わってしまったのだ。
一方、タレンザック市場は営業時間の延長に踏み切った。夜間も営業するスーパーに対抗しているためだ。公設市場とスーパーが競争関係にあるような印象を受けた。
パリの日本食ブーム実態レポート
海外への農産物の輸出―人口減少時代にあって海外に販路を求めることは問題解決のブレークスルーになる。そのためにも農業の足腰を強くしておく必要があるのに、補助金漬け輸出増強策しか打ち出せないやり方に不満は残る。急がば回れ、農業の足腰強化が輸出強化につながることを肝に銘じるべきだ。
農産物の輸出には、農産品と加工食品(アルコール類を含む)という分類がある。もうひとつ付け足すとしたら「日本食の海外展開」だ。鮨屋やラーメン店など飲食業による海外展開という切り口だ。資本の輸出だが、日本からの農産物の輸出の応援団になる可能性は十分だ。その切り口でヨーロッパ市場をみた場合、残念ながら農産品の輸出は大苦戦。国産農産物の価格が高すぎ、輸送コストもかかりすぎ、二重のハンデに見舞われているからだ。
加工食品と飲食業の海外展開は、大きな可能性を秘めている。高い国産農産物でも加工して付加価値を付ければ、原料の高コスト問題をカバーアップできないこともない。飲食業による海外展開は、農産品や加工食品の輸出の援軍となるだけでなく、観光客呼び込みの援軍にもなる。
前置きが長くなった。パリの日本食ブームの実態をレポートする。
最近、パリの高級食品店で顕著な動きは、メード・イン・ジャパンの加工食品を扱うコーナーを強化していることだ。エトワール凱旋門からメトロで2駅目のポート・マイヨール駅に降り立つと、「パレ・デ・コングレス」という国際会議場がある。高級ホテルや映画館やショッピングセンターを併設。その地下にある「Galeries Gourmandes」、ギャラリー・グルマンは、ミドルアッパー向け商品を並べている食品売り場だ。東京なら紀ノ国屋や成城石井クラスになろうか。
入って中央の目立つところに加工食品や調味料を並べた5段の陳列棚がある。その片側が日本コーナーとなっている。特定の国のコーナーを設置しているのは、日本だけだ。これだけでも日本の加工食品がパリで受け入れられているかが分かるだろう。
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土門剛 ドモンタケシ
1947年大阪市生まれ。早稲田大学大学院法学研究科中退。農業や農協問題について規制緩和と国際化の視点からの論文を多数執筆している。主な著書に、『農協が倒産する日』(東洋経済新報社)、『農協大破産』(東洋経済新報社)、『よい農協―“自由化後”に生き残る戦略』(日本経済新聞社)、『コメと農協―「農業ビッグバン」が始まった』(日本経済新聞社)、『コメ開放決断の日―徹底検証 食管・農協・新政策』(日本経済新聞社)、『穀物メジャー』(共著/家の光協会)、『東京をどうする、日本をどうする』(通産省八幡和男氏と共著/講談社)、『新食糧法で日本のお米はこう変わる』(東洋経済新報社)などがある。大阪府米穀小売商業組合、「明日の米穀店を考える研究会」各委員を歴任。会員制のFAX情報誌も発行している。
土門辛聞
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