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今年の市場相場を読む

福島産野菜類への風評はどうなったか キュウリ/インゲン/アスパラガス/豆モヤシ

今年はこの7月の気象推移次第で、豊凶の如何はなかなか予断しにくいが、福島県産農産物はいまもまだ“風評”に翻弄されている。業務加工仕向けでは基準をクリアしたものについては、需要も回復しつつあり、シェアの高い品目では業績も回復しているが、一般需要がついてこない。風評は非常に厄介なもので、水俣病をはじめとする公害病などは、いまでもなんの根拠もなく差別を受けている。
福島産もそんな現状を見る限り、先行きは不安要素がいっぱいだが、そろそろその“風評の仕組み”から見直し、回復するべきものと、他の方法、やり方を変えたほうがいいものと峻別していくしかない。

キュウリ 数量やシェアは不動だが問題は単価、原産地表示には躊躇する小売店業界

【概況】
東京市場のキュウリの入荷推移を、大震災の翌年で、風評被害が始まった2012年と、6年後の18年を対比すると、どんな変化が見られるのだろうか。入荷総量は3%程度増え、平均単価は22%上がっている。では、福島産はどんなダメージがあったのか。実は、震災前の10年と翌年の12年を比較すると数量は逆に7%増えており、12年と18年対比ではやや減でも、むしろ10年とほぼ同量。埼玉18%、福島14%の入荷シェアは不動だ。
【背景】
入荷数量やシェア、7~9月の7割近い占有率も変わらないが、影響は単価に現れた。12年の福島産はこの年の平均単価より32%安く、震災前と比べても3割も安くなった。それが18年になると、平均でも2割以上高く、福島産はそれよりさらに13%も高くなった。数字だけを見ると、災害のダメージはまったく払拭され、さらに伸長しているとさえ言える。ただ、夏の単価は冬より安いことが自然だが、18年については福島産は平均単価が西南暖地よりも高い。
【今後の対応】
キュウリの最需要期は夏場である。業務用から家庭用まで、夏の料理には欠かせない。この時期、主産地は東北6県だが、消費地に最も近い福島県が、古くから夏秋キュウリの最も信頼される産地であった。系統掌握率も高く、大型ロットがそろう産地として流通業界から評価されてきた。その不動の信用によって不幸なトラブルに見舞われても市場では支持された。しかし、原産地表示が義務であるスーパーなど小売店では、まだまだ仕入れは消極的である。

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