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新・農業経営者ルポ

100haの稲作を目指し、川中から川上へ


「これで100ha以上はできるかなと。乾燥調製作業の請負だけでなく、農作業も請け負っていく」
現状の面積からすると過大な設備は、今後の規模拡大にかける決意の固さを物語る。4年目で20haという拡大のスピードに「早いですね」と言うと、「本当はもっと集めるつもりだった」との返事が返ってきた。今年から乾燥調製施設が整ったので、「ここからはもっとスピードを上げて農地を集めていかないといけない」と言う。
今年作付けしたのは、はえぬき、つや姫、雪若丸、ひとめぼれなど。加えて、つきあかりの種を取り寄せて作付けした。これは、多収で冷めても食味が落ちにくいため、業務用に向く。今年から山形県の産地品種銘柄に認定された(注:認定のいきさつについては7月号の本稿を参照)。
なぜ農業法人を設立したのかと聞くと、「これまでと同じ商売の仕方だと厳しい」という答えが返ってきた。
「ここ10年、コメ流通の流れが変わっていて、昔からのルートにコメが集まらなくなっている。とくにここ3、4年ほど集荷に苦労している。産地にも卸や小売が直接入り込む流れが大きい」
丸屋本店は全集連グループに属する。集荷率は昔に比べ下がっており、これは同社に限ったことでなく、農協も同じ悩みを持つ。取引先の農家が離農して農地が使われなくなったり、農地を引き継いだ農家が別の集荷ルートを使っていたりするためだ。東根市は、人口が増えているものの、農家、とくに稲作が中心の農家になる人はほとんどいないそうだ。集荷率の悪化に加え、農家向けの肥料や農薬、種苗などの販売量も減ってきた。

地域の農業を支えるために自分で作る

「地域のコメを扱ってこそ、ここで米屋をやっている意味があると思う。お客さんである農家が高齢化し、10年後にお客さんがゼロになるんじゃないかという危機感もあった。地域のコメの生産をしっかり支えるには、自分で生産をやっていくしかないのかなと」
鈴木は農業法人を立ち上げた15年当時の思いをこう振り返る。丸屋本店の集荷対象は東根市の小田島地区で、集荷量は約3000俵。集荷対象の農家の農地を請け負うだけでも、相当な面積になる。まずは自社で小売りしたり、炊飯したりする分だけでも集荷できるようになりたいと、生産を始めた。炊飯事業の経営者でもあるため、米価が上がると原価上昇に苦しむのをなんとかしたいという理由もあった。
田んぼは1枚30aの広さのものが多く、集荷対象の農家の面積は1軒当たり60~80a程度。これは、サクランボをはじめとする果樹栽培が盛んで、農家にとって稲作の重要性がそれほど高くないため。コメ単作地域に比べると、農地の集約が遅い。地区内の農地を借り受けて広い面積をこなす農家はいるが、いずれも個人で営農しているため、いずれ農地が集まってくると読む。

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