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新・農業経営者ルポ

100haの稲作を目指し、川中から川上へ


稲2015には専属の従業員が3人いる。30代の前半から40代で、平均年齢は40歳くらい。いずれも農業経験はない。
「人数は面積からするとすごく多いと思う。ここ5年くらいが勝負だと思うので、今後に向けて人の育成にはお金をかけないといけない」

営農支援システムで効率化

生産する20haは地域内に点在する。今後、面積が広がるにつれ、農地がつながると予測する。効率的な管理をするため、今年からクボタが提供するクラウド型の営農支援サービスKSASを搭載したコンバインとトラクターを導入した。農地ごとの作業計画と結果を記録でき、農機の不具合が自動で検出され、通知が届く。農機がどこで作業しているか、パソコンや専用端末、タブレットから把握でき、作業の流れがスムーズになる。コンバインからは圃場ごとの収量や食味値まで把握できる。
「どう使いこなせるかが重要。経営の改善に活かせるようにしていかなければ」
生産を始める前も、農家への肥料や農薬の販売を通じて、稲作には携わっていたが、「毎年が実験と反省の繰り返しになると思う。そのなかで安定した収量を確保しないといけない」
田んぼでは、従業員が田植えしている最中だった。田植え機には自動直進機能が付いている。作業している隣の田んぼは、鉄コーティングを施したはえぬきを5月半ばに湛水直播した。1俵当たりの生産コストについて「まずは平均を下回ること。1万円を切って、8000円くらいで作れればいい」と話す。肥料や農薬を見直したり、直播に切り替えるといった効率化で、コストは下げられると見込む。
同社は育苗ハウスを3棟持つ。丸屋本店として農家に苗を販売するのに加え、稲2015でも田植えするため、設備を持っている。ただ、面積の増加とともに育苗ハウスを増やすことには懐疑的だ。一部の田んぼで湛水直播をしているし、農家向けに育苗ハウスを増設しても、年間を通してハウスを使う見込みがなく、遊ばせておくのはもったいないからだ。
「この辺りには、昔から大規模稲作農家はいない。そのため、狭い面積に手間をかけて大事にコメを作ろうというのが多く、省力化し、コストを下げて作るということをあまりしてこなかった。全国の先進的な事例を参考に、技術を教えてもらいながら、面積を広げていきたい」

父の代に始まった新規事業創出

異業種への参入は、亮吉の代になって急に進んだわけではない。父が1991年に地域のスーパー向けに酢飯を供給する会社としてベストフーズを立ち上げた。同社は東根市内で唯一の炊飯事業者だ。当時の山形で、炊飯事業者はまだ珍しかったという。ちょうどスーパーで多店舗展開が進んだ時期で、酢飯を供給しなければ、各店舗でうまく寿司が作れなくなっていた。

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